グローバル・ワイン・トレンド with ジャンシス・ロビンソン @東京アメリカンクラブ

ジャンシス・ロビンソンさんとニコラス・ランダーさんが東京アメリカンクラブで開催したセミナーに偶然参加してきました。

セミナータイトルは「 Global Wine Trends グローバル・ワイン・トレンド」

当日のワインはこちらです。

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Gusbourne Estate Reserve Brut 2009
Rafael Palacios Louro Valdeorras Godello 2014
Chateau Moulin a Vent Chamo de Cours Beaujolais 2010
Curly Flat Williams Crossing Pinot Noir 2011

まずそれぞれのワインについてジャンシスさんからコメントがありました。

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Gusbourne Estate Reserve Brut 2009
品種:シャルドネ77%、ピノ・ノワール14%、ピノ・ムニエ9%
ちょっと前にロンドンでイギリスのスパークリングとシャンパーニュそれぞれ6アイテムずつのブラインドティスティングがありました。ワインの専門家のなかで、評価の高かったトップ2はイギリスのスパークリングでした。
イギリスは天気が悪いのでぶどうの糖度はあまりあがらないのですが、スパークリングワインに必要な酸をキープすることができます。イギリスのスパークリングはシャンパーニュよりクリスプな印象です。まだ歴史が浅いので熟成に関してはわかりませんが、品質は非常に良くなってきています。

オックスフォード・コンパニオン・トゥ・ワインの第3版に、イギリスのスパークリングについて、スモールトレンドとして紹介しました。あのときと比べるとたくさんのことが変わってきています。今は、イギリスのワインが注目に値するものとなっています。

ここは2004年設立の新しいワイナリーです。ステレンボッシュでワイン産業に関わった事がある南アフリカのお医者さんが、この地のスパークリングワインの可能性を感じてはじめました。

※イギリスのスパークリングは、昨年までは6種類くらいおいてありました。シャンパーニュと同じ石灰土壌ということ、また地球の温暖化で、やや暖かくなったことから、シャンパーニュに比肩する品質のスパークリングが増えてきていますね。

Rafael Palacios Louro Valdeorras Godello 2014
品種 : ゴデーリョ 100%

最近のワインのトレンドとしては、シャルドネやカベルネといったグローバル品種だけではなく、より幅広いぶどう品種を消費者が求めるようになったことがあります。古代品種や地方の土着品種ですぐれたものが注目されるようになりました。
ゴデーリョはスペインのガリシア地方の土着品種です。ピュリニー・モンラッシェのような骨格があり、非常に長命なワインができます。花崗岩土壌で、香水のような上品なアロマがあります。このワインはセカンドレンジで、上キュヴェはアス・ソルテスと言います。これも素晴らしいワインです。

 

 

※このワインあります♫
生産者ページ:ラファエル・パラシオス
ピュリニーのようなストラクチャーのラファエル・パラシオスのルーロ
希望小売価格3,300円(税抜)

 

 

4番のワインから飲みましょう。色を見てください、こちらのほうが繊細です。
Curly Flat Williams Crossing Pinot Noir 2011
品種:ピノ・ノワール100%

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香りはブルゴーニュのようですね。このワインはカーリフラットのセカンド・レンジです。
産地のマセドンレンジは、オーストラリアと思えないとても寒い場所です。一度訪れたときは凍えそうでした。色合いは薄いですが、香水のような華やかな香りで、ドライな後味。繊細ですがタンニンもあるので長命です。いいワインです。

※ヤラヴァレーのメイヤーや、ホドルスクリークなど、オーストラリアのヴィクトリアの冷涼な気候のピノは今注目されていますね。
参加者からの質疑応答で「僕はこんなオーストラリアワインは飲んだことがないよ、こういうワインが好きだからいつもブルゴーニュを購入してた。でも4500円だったらこっちがいい」というような感想を言っているかたがいました。(英語ネイティブ同士で話しているので、話が早くてついていけず、ちょっと誤訳かもしれませんが、おそらくこんな会話だったと思います)

カーリー・フラットのピノは完売ですが、シャルドネは販売中です◎

生産者ページ カーリー・フラット

 

 

Chateau Moulin a Vent Chamo de Cours Beaujolais 2010
品種:ガメイ100%

カーリー・フラットよりヴィンテージは古いにも関わらず非常に濃い色合いですね。ボジョレーは、ヌーボーのイメージが非常に強いですが、そうではないボジョレーが最近のトレンドです。生産者も自信をもってガメイを造っているので、しっかりとした長命なワインが増えています。土壌は花崗岩と粘土。濃い色調で、豊富なタンニンとともにガメイのフレッシュな酸味があります。

最後に質疑応答がありました。

Q1)日本のワイン、例えば甲州ぶどうなどをどう感じていますか?

甲州はロンドンでも非常にアクティヴです。だんだんよくなっていますね。いまは刺身や鮨に合わせるというイメージです。前回日本にきたときにメルシャンの白ワインで甲州ではない品種の古いマグナムを飲んだことがあります。日本ワインは輸出が少ないので今回の滞在でいろいろ挑戦してみたいですね。

Q2)地球の温暖化とワインについて

2006年のオックスフォードと比べて多くの産地が追加されています。
スウェーデン、デンマーク、ノルウェイ(ぶどう畑が一つあります)、オランダ、ベルギー、カナダはすでに赤ワインで成功していますね。アイスワインは減少しています。ドイツワインの品質は非常に上がりました。
南のワイン産地で水が少ないところ、オーストラリア、アルゼンチン、チリ、カリフォルニアなどは水の値段も高いので問題ですね。シャトーヌフもアルコールが上がりすぎているものが見られます。今はボルドー品種や北ローヌの品種を造っている産地がより温かなスペインやイタリアのぶどうへの植え替えをしています。

温暖化の恩恵を受けているのはロワール。フレッシュな酸を保ちつつ毎年ぶどうが完熟するようになりました。昔は10年に数回しか十分熟さなかったブルゴーニュも毎年熟していますね。

 

Q3)ワインのグローバライゼーションについて
ワインは大きな会社には難しいと思います。いくつかの大きなワインの会社はありますがそれほど成功しているとは思えません。タイミングによっては、ブルーナンが大成功したこともありましたが、今は落ち込んでいます。その他ガロしかり、ジェイコブス・クリークしかり、モンダヴィはコンステレーションに買われてしまいましたし、ムートン・カデもピークはすぎましたね。オーストラリアのイエローテールがアメリカで成功しているくらい。アメリカだけですが。大手はテロワールを表現するワインは造らないです。スーパーマーケットは別として、ワインを好きな人々が、彼らに棚を支配させることはないでしょう。

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お二人とも非常にフレンドリーで穏やかでした。コメントにときどきユーモアがまざっていて、会場がどっと笑ったりしてました。私には、ついていけない部分もありとても残念。(英語勉強しなおさないとといけないなーと心に誓いました)

明日はソムリエ協会のセミナーとのこと、「明日はセミナーだけ」と言っていたのでティスティングはないのかも。新しいワイン産地マップを見せてくれるようです。

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