ステレンボッシュのワイン〜南アのシュナン・ブラン最高峰 THE FMC
ステレンボッシュのワインといえば、数年前まで「ボルドータイプのワイン産地」というイメージがありましたが、白ワイン、ナチュラル系ワインも注目され面白くなってきました。
本日は、ステレンボッシュを代表する白ワインの造り手、ミスター・シュナン・ブランのケン・フォレスター氏が造るTHE FMC （ザ・エフエムシー）を紹介します。このワインを調べていて、某イングランドのワインサイトをみてびっくり。ワインの平均価格が2015年の７月から現在まででで約10ポンド上昇していました（驚）
南アフリカの白ワインとしてはなかなかいいお値段ですが、2014、2015年ともにインターナショナルワインチャレンジに銀賞（2012ヴィンテージ）、金賞（2013ヴィンテージ）を受賞しており、両方ともコメントに数年熟成させたらより素晴らしいだろうと評されていました。
ケン・フォレスター氏
FMCの説明の前にステレンボッシュをざっと復習してみました。
◎ステレンボッシュの概略
南アフリカのワインの歴史は古く、最初のワインはケープタウンの周辺で１７世紀頃作られました。現在、ワイン生産の中心は、ステレンボッシュの周辺に移動しています。ステレンボッシュは、南アフリカで2番目に古い町で、学生街としても有名です。ステレンボッシュ大学にはワイン醸造学科もあります。
内陸にもかかわらず、ステレンボッシュは比較的涼しい気候を享受しています。畑は、ヘルダーバーグやシモンズバーグマウンテンの山の斜面に位置していいます。風化した茶色い花崗岩と粘土の痩せた土壌、理想的な日照量と涼しい風のおかげでカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローなどのボルドー品種が主に栽培されてきました。シラーもステレンボッシュの赤ワインでは重要な役割を果たしています。白は、シュナン・ブランとシャルドネが主に栽培されています。
◎ステレンボッシュの食とワイン
RUST EN VREDEのレストラン
近年ステレンボッシュは、フランシュックとともにワインランドの料理の中心地としての役割も果たしており、いくつかのワイナリーは非常に質の高いダイニングルームをオープンさせています。ヨーロッパの調理法をベースに、スプリングボック、ナミビアンビーフ、エビ、キングフィッシュなどの地元の素材をふんだんに使っています。最近のワインメーカーは、ディナーのテーブルにはちょっと強すぎとも言えるスケールの大きなワインを造ることよりも、食事とワインの調和、組み合わせに注意を払っています。
南アの赤ワイン、特にボルドースタイルのワインで有名なラス・エン・フレーデのワインメーカーコーニー・スニーマン氏は、ワイナリー併設のレストランを開いてから、ワイン造りの考えが変わったと言っています。「ビッグでボールドなワインはいつも料理とうまくいくとは限らないと思いました。新樽とアメリカンオークを減らし、ナチュラルな酸味をひき立てるようにしました。人々がディナーの席で食事とともに楽しめるワインは、こういったスタイルだと思います」と彼は言います。
◎南アフリカのシュナン・ブランの最高峰 「ケン・フォレスターのエフエムシー」
ステレンボッシュはボルドーSTYLEだけではありません。
ホテル、レストラン業からワイン醸造家に転向したケン・フォレスター氏は、南アフリカで最も広く栽培されているぶどうであるシュナン・ブランの第一人者です。彼は、1993年にステレンボッシュのぶどう畑とフルーツ農場を購入しました。ケンが、所々に植えてある1970年ごろに植樹されたシュナン・ブランの古木を残したことが現在の成功のキーになっています。「当時みんなシュナンを抜いてピノタージュやシャルドネを植えるように言いましたが、私は抜かないことにしたんです」と自信に満ちた笑みを見せました。
彼のシュナン・ブラン、ステレンボッシュThe FMCは、南アフリカのシュナン・ブランのアイコン的な存在です。
The FMCは、マンゴーやバターたっぷりのブリオッシュのような豊潤でしっかりとした白ワインです。ぶどうは、1967年に植えられた自社畑のブッシュ・ヴァインの古木のシュナン・ブランを使っています。ぶどうは、熟度に合わせて数回にわけて手摘みされます。収量は非常に低い、凝縮感のあるワインです。野生酵母で発酵させ、400リットルのフレンチオークで12ヶ月熟成させます。例年わずかにボトリティスがついた果実が混ざっています。
「FMCはビッグなワインですが、自然な酸味があるため、レストランで料理と合わせやすいワインです。早摘みすると、果実の酸味はありますが、フェノール類が熟していません。より遅く摘んだ果実は、私が求める果実の性質がより表現されています」と、ケン氏は言います。
ケン・フォレスター
ケン・フォレスターのTHE FMCは、2014年のIWSC（インターナショナルワイン＆スピリッツ・コンペティション）において、シルバーメダルを獲得。2015年はゴールドメダルとシュナン・ブラントロフィーを得しています。間違いなく南アフリカ最高のシュナン・ブランの一つです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
IWC 試飲コメント
The FMC 2012
色合いは輝きのあるペールゴールド、リッチで豊潤、複雑なアロマ。よく熟した桃やアプリコット、ハニーサックル、ジャスミンなど。口当たりは、素晴らしい酸味が他の味わいを持ち上げ、力強さ調和させています。緊張感とすばらしいテクスチャーがあります。
わずかなボトリティスのブドウが複雑性を与えています。香りは強く、余韻は長いです。今からおいしく飲めますが、５〜７年以上の熟成による素晴らしい変化が期待できます。
The FMC 2013
色合いはわずかに緑色がかった輝きのあるゴールド。最初は閉じ気味ですが、熟したアプリコットと蜂蜜、フィンボス、イースト、オーク、白い花、ハニーサックルのアロマ。バランスの美しいワインです。深みのある長い余韻が続きます。今もおいしく飲めますが、６年以上の熟成による素晴らしい変化が期待できます。
生産者ページ ： Ken Forrester Vineyards
ーーーーーーーーーーーーーーーーー