ミュスカデとサンセール勉強会! 2015年8月
先日、ミュスカデとサンセールスタッフ勉強会が行ないました。
夏にぴったりのロワールというよりも、熟成してこそ真価を発揮する(ソムリエ、アドヴァイザー試験には絶対出ない)キワものを揃えました。
例えば、樹齢77年の古木からよい年だけ作られるルイ・メテローのキュヴェ・ワンの2013年は、ミュスカデには間違いないのですが、まだ若すぎて味がでてきてないなあーという印象を受けました。
ミュスカデって試験勉強をしているときは「果実味はライトから中程度で、ぷちぷち微発泡している場合がある、生牡蠣や魚介にぴったりのすっきりした辛口くらい」に覚えておけばよかったという記憶があります、これも間違いではないですし、このタイプのワインは飲みやすく価格も手頃で広くみんなに好かれました。これがある意味不遇なんですよね。熟成できる上キュヴェも当時からあったのですが、日本にはじめて入ってきたときに、最初に最も下のキュヴェが大量入ってきたので、結局全部が軽くて安い辛口の白ワインのイメージがついてしまった、そうです。
一度カジュアルに飲む安いワインのイメージがつくと、5000円前後するミュスカデはなかなか売れません。でもきちんと収量を抑えて、シュールリー(澱との接触)を長くとって造ったミュスカデは、10年以上たってもミネラルと酸がしっかりとあるので若々しく、熟成に耐えられる酒質があります。南の暖かい地方のブルゴーニュのほうが同じヴィンテージで熟成がすすんでいることも考えられますね。
日本で古いものはほとんど手に入らないので、現地に行ったら古いものを探して飲むことをおすすめします!!
余談ですが、ジャンシスロビンソンとヒュージョンソン著の「地図で見る世界のワイン」ではミュスカデは品種ではなくワインの名前、品種名は、ムロン・ド・ブルゴーニュと書いています。日本ではミュスカデは品種名であり地名、現地ではムロン・ド・ブルゴーニュとも呼ばれると教わった気がします。確かに現地の生産者は、ムロン・ド・ブルゴーニュと言っていました。
ロワールは横に長く、ミュスカデひとつとっても花崗岩とシスト、サンセールはキンメリッジ、シレックス、ポートランディアンの主に三つの土壌があり、土壌が好きな人にはたまらない場所ですね。個人的にはサンセールの遅摘みタイプが非常におもしろかったです。それぞれに個性的。このタイプのソーヴィニヨン・ブランを造ろうとしているニューワールドってまだ出てきてないよなあと思いました。(ま、あんま売れないからでしょうが…)
◎試飲ワイン
ポワロン・ダヴァン・ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ2004年
Poiron DabanMuscadet Sevre et Maine Sur Lie 3,400円
説明)平均樹齢40年、61ヶ月間シュールリーにて熟成
試飲コメント)まろやかで厚みのあるオイリーな辛口、ミネラリーだが横への広がりがある
ルイ・メテロ・ミュスカデ2010年
Louis Métaireau Muscadet 2,000円 (税抜)
説明)はや飲み用に造られたキュヴェ。
試飲コメント)濃いめの黄色、はちみつ香、ミネラリーだが味わいに甘みと旨味を感じる。
ルイ・メテロ・キュヴェ・ワン2013年
Louis Métaireau Cuvee One 3,800円(税抜)
説明)ルイ・メテロが所有する最も樹齢の高いぶどう(樹齢77年)から造られるキュヴェ。
2013、2012、2011、2010、2009、2007、2005、2004、1999、1997、1995、1990、1989、1987が生産されている。
コメント)フレッシュ、厚みのある果実味の味がまだでてきておらず固い印象。凝縮感がある。生ガキではなく火を通した牡蠣のほうがよさそうです。
ドメーヌ・デ・ヴィーニュ ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー1990年
Domaine des Vigne Muscadet Sevre et Maine 4,300円(税抜)
詳細不明
試飲コメント)蜂蜜をこがしたような香り、キャラメル、マディラ香。煮詰めた味わいやえぐみが強くでていないので、年代を考えたら保存状態が悪いとは言い切れない。旨味は残っている。
シャトー・デュ・コワン・コント・ド・サン・ユベール・ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ1997年
Chateau du Coing Muscadet Sevre-et Maine Sur Lie Comte de Saint- Hubert 5500円(税抜)
説明)ゴーミヨ4つ星の生産者。シストとカイユの混ざる土壌。樹齢85−100年の木を使用したしっかりとした骨格のミュスカデ。
試飲コメント)きれいに熟成したブルゴーニュのワインの厚みと複雑さ。みつろうのようなきめの細かな口当たり。ミネラルの苦みが若干後半にある。地味な香りと味わいだが、熟成した白ワインの楽しさを楽しむにはコスパがよいと思う。今日の試食の鶏胸肉のこぶじめとよく合いました。
ドメーヌ・アンドレ・ヴァタン サンセール・レ・シャルム2014年
Domaine Andre Vatan Sancerre Les Charmes 2014 3,000円(税抜)
説明)小石と石灰質土壌の区画のフルーティさ、白亜石灰土壌のコクとオイリーさ、シレックス土壌の区画の力強さがブレンドされています。柑橘系の香りとミネラル主体の爽やかなサンセール。
試飲コメント)やや若い。教科書的なまじめなサンセール。香りが派手すぎないので、白身魚のカルパッチョや、生ガキなど定番なお料理と合わせやすい。
カーヴ・ド・ヴァン・ド・サンセール サンセール1989年
Cave des Vins de Sancerre 1989 6,800円(税抜)
説明)サンセールの協同組合のワイン、1989はローワルの優良年。
試飲コメント)カフェオレのような香り。すでに果実の厚みはなくなっているが古酒としての香りを楽しめる。協同組合のワインでも良年はよい熟成をする。
ドメーヌ・フランソワ・コタ サンセール・キュヴェ・ポール2006年
Domaine Francois Cota Sancerre Cuvee Paul 2006 13,800円(税抜)
説明)平均樹齢25から30年 粘土と石灰土壌。グラン・コートと呼ばれる最高区画のぶどうを使い、樽発酵、樽熟成させたキュヴェ・ポール。熟成させる価値のあるワイン。2006年はロワールのソーヴィニヨンブランの秀逸な年です。貴腐のニュアンスもわずかに感じられますが、貴腐はついておらず完熟によるものだそうです。
試飲コメント)香りはフラワリーで、華奢な華やかさがある。ミネラルと果実味が上品で洗練された味わい。サンセールの常識を変える一本。エレガント。バターやクリームのソースではなく、アジア料理のスパイスやハーブと相性がよさそう。
ドメーヌ・ジェラール・ブーレ サンセール・ラコート2013年
Domaine Gerard Boulay Sancerre La Cote 5,500円(税抜)
説明)平均樹齢40年。完全ビオディナミ。ラコートは、畑の名前で、コートが意味するように丘の斜面にある畑。硬質なミネラルが特徴的。300リットルの樽で発酵させ、ステンレスタンクで熟成。
試飲コメント)透明感がありクリーンでピュア。きめ細かく骨格はしっかりとしている。若くミネラルもまだ固いがリースリングのようなごりごりした感じではない。全体的に強めの要素でまとまっていてバランスがよい。すきがない。合わせるお料理はヤギのチーズでしょう(ラベルにヤギが描かれています)
ルシアンクロシエ サンセール・ヴァンタンジュ・デュ10オクトーブル 2006年
Lucien Crochet Sancerre Cuvee Vendange du 10 Octobre 9,000円(税抜)
説明)平均樹齢20年。良年のみ造るスペシャルキュヴェ。通常の収穫より20日ほど遅く収穫。1/3はバリックの新樽で、2/3はステンレスタンクで30日間低温発酵。その後引き続き1/3はバリックの新樽で、2/3はステンレスタンクで12ヶ月熟成。
複数の古木の区画をブレンドしと樽とタンク発酵を併用したキュヴェ。ソーヴィニヨンブランの最高峰の一つの形。
コメント)ベルガモットの花、蜂蜜、トロピカルフルーツ、スモーキーさも感じられる。複雑でこくのある辛口。冷涼感がある。アルコールも高く強いワインだが重苦しくなく洗練されたた味わい。これも、エスニック系料理の要素(スパイスやハーブ、フルーツ)を取り入れたフレンチや和食などの創作料理が合いそう。
◎本日の試食