New Zealand Regional Pioneeres Seminar
ニュージーランド・リージョナル・パイオニア・セミナー・レポート
昨日はニュージーランドのマルボロ、セントラル・オタゴ、オークランドのそれぞれの産地で古くからワインを造っている先駆者的存在な3つのワイナリーセミナー、しかも生産者来日!があり、ニュージーランドワインの歴史とこれからなども含めてお話を聞いてきました!
【登場ワイナリー】
ドッグ・ポイント・ヴィンヤード(マルボロ)
クメウリヴァー(オークランド)
マウントディフィカルティー(セントラルオタゴ)
【ドッグポイント Dog Point Vineyards】
マルボロのワイン、特にソーヴィニヨンブランは世界的に非常に人気がありますが、ジェームスが1990にマルボロに移住したときはマルボロのワインの生産量はニュージーランド全体の10から12%でした。2002年には約半分となり、現在はおよそ70%を占めています。
マルボロのワインは世界から愛され、注目され、大企業が進出し、1996年から2008年の間に年間生産量が約5倍になりました。しかし実際マルボロでワイン栽培に適した土地はそれほど多くないのも事実です。
マルボロのぶどう栽培地域は3つの土壌に分けられます。
①ワイラウヴァレー
土壌;川の堆積土壌、少しボルドーに似た、砂や砂利の多い軽い土壌
ワインの特徴;ハーブなどのグリーンなアロマ、ブドウはよく熟すのでトロピカルフルーツのフレーバー
②サザンヴァレー
土壌;粘土土壌、ブドウが熟すのはワイラウヴァレーより遅く、シトラスフルーツ、グレープフルーツのフレーヴァーが顕著に洗われる
③アワテレ;より涼しいエリア、華やかでフローラル。ブドウ栽培には厳しいが最近注目されている
ちなみに、ドッグポイントは、サザンヴァレーという粘土質の土壌に畑があり、クラウディベイの畑はワイラウヴァレーにあります。
■試飲アイテム
①ソーヴィニヨン・ブラン2013
7つの異なる畑のブレンド。手摘み。20%は自然酵母を使用。サザンヴァレーの土地の個性を表したワイン。シトラス、オレンジ、グレープフルーツなど柑橘系のアロマとフレーバーが顕著。
②セクション94ソーヴィニヨン・ブラン2012
一区画の品質のよいブドウのみを使用。18ヶ月、古いフレンチオークで熟成、粘土が多い土壌で少しシルトがある深い土壌。樽熟成によるアーモンドのような香り。スパイシーな風味もあり、まろやか。
■コメント
ニュージランドのソーヴィニヨンブランと言えば、クラウディーベイ、という時代がありましたよねー。ドッグ・ポイントはそのクラウディベイで12年間ワインを造っていたアイヴァン・サザーランドとジェームス・ヒーリーがはじめたワイナリーで、2002年が最初のヴィンンテージです。
ワインのスタイルはだいぶクラウディベイと異なるため、何が違うのかなーと思っていたのですが、今日お話を聞いてすっきりしました!
【クメウリヴァー Kumeu River】
オークランドは家庭でワインを造る習慣のあったクロアチア系移民が多い地域で、その彼らのライフスタイルが持ち込まれたところからワイン造りの歴史がはじまります。
クメウリヴァーは1944年に設立されたワイナリーで、ここのシャルドネは長くニュージーランドの高品質のシャルドネを代表するワインでした。
オークランドは、年間の降水量が多く(1200mm)やや気温も高いので、現在ではワイナリーの数は減少しつつあります。
■試飲アイテム
①ヴィレッジ・シャルドネ;Village Chardonnay
自社畑と契約畑のブドウを使用。ピーチと柑橘系のフルーツの瑞々しい味わい、穏やかな樽のフレーバーもあり、コストパフォーマンスの高い1本
②エステート・シャルドネ;Estate Chardonnay
粘土質土壌の7つの畑のブレンド。熟したリンゴや蜂蜜、マロラクティック発酵によるバターっぽさもあり。リッチで重めの味わい。
③ハンティング・ヒル・シャルドネ;Hunting Hill Chardonnay
マテズヴィンヤードの隣ですがよりフローラルでエレガント。やや引き締まっていて
④マテズヴィンヤーズ・シャルドネ;Mate’s Vineyards Chardonnay
粘土質土壌のリッチさと華やかさ、まだ少し固いかな。
■コメント
クメウリヴァーのシャルドネは、全体的にナッツやアーモンドの香りがあり、マロラクティック発酵に由来するバターのような重い香りが控えめな印象。これは10年ほど前にこのワインと出会ったときと変わらない印象です。
特にハンティングヒルのシャルドネは、ブルゴーニュスタイルのエレガントなワインでした。マテズヴィンヤードは、昔飲んだときよりも凝縮感とリッチさが強くなった印象。(樹齢があがったせいもあるかなーと思いましたが聞く時間がなかった。。。)リッチで厚みのある果実味はワインスペクテーターなどの海外専門誌で常に高い評価を得ているのが納得できます。
【マウント・ディフィカルティ・ワインズ Mt Difficulty Wines】
マウント・ディフィカルティーはニュージーランドのセントラル・オタゴで1998年にはじまったブティックワイナリー。ブドウ栽培は、1800年ごろからしていたのですが、金脈が見つかりしばらくの間ブドウ栽培は忘れられていました。
セントラル・オタゴは海に囲まれたニュージーランドでは珍しい大陸性の気候の山のワイン。寒暖の差が大きく、果実が凝縮するため、厚みと深み、溌剌としたエネルギーにあふれるワインが生み出されています。ここは4つのサブリージョンにわけられます。
①バノックバーン…粘土と砂利が混ざった土壌。セントラル・オタゴの中でも日照量が多いので、力強く、凝縮感のあるワインが造られており、セントラル・オタゴのグランクリュともいわれています。マウント・ディフィカルティーとフェルトンロードがあります。
②ギブストンヴァレー…涼しい気候のため赤いフルーツの要素が顕著なエレガントなワインが造られています。
③ワナカ湖…セントラル・オタゴの先駆者で現在はビオディナミ栽培を実践しているリッポンがあるエリアです。水はけのよいシストと礫質の土壌
④アレクサンドロ…母岩がシストのためワインにミネラルやスパイシーさが顕著に現れます。クォーツリーフがあります。
■試飲アイテム
①ローリング・メグ・ピノ・ノワール2011 ;Roaring Megu Pinot Noir
契約畑と自社畑のブレンド。セントラル・オタゴの力強いピノの概略がざっくりつかめます。コストパフォーマンス抜群。
②ピノ・ノワール2012 ;Pinot Noir
自社畑100%、ブラック・ベリーとオーク樽由来のバニラ、シナモン、フルーツケーキ、チョコレートなど甘いアロマ。味わいは果実味中心でタンニンもとてもソフト。親しみやすい味です。
③ロング・ガリー・ピノ・ノワール2010; Long Gully Pinot Noir
粘土質土壌の樹齢約23年のシングルヴィンヤード。収量を低く抑え、凝縮したパワフルなピノが楽しめます。よい年に10樽くらいしか仕込まない希少品。凝縮した赤いベリーやチェリーのの印象、シナモン、ナツメグ、甘草などのスパイスのアロマ。
■コメント;おおざっぱに分けると西側(フェルトンロードとマウント・ディフィカルティ側)は粘土ベースの土壌で、リッチでダークなピノ。東は川の堆積や風で運ばれた土などの軽い土壌なのでフルーティでフェミニンなワインができるとのこと。セントラル・オタゴは、ニュージーランドの中ではパワフルでな印象がありましたが、偶然自分が西側のワイナリーしか知らなかっただけで、場所によってはエレガントなんですねー。今後はシングルヴィンヤードに力を入れていきたいとのことでした。
(ちなみに、ドッグポイント以外のワイナリーは取り扱いがあります)