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Château Gruaud Larose

シャトー・グリュオー・ラローズ

シャトー・グリュオー・ラローズの写真1 シャトー・グリュオー・ラローズの写真2 シャトー・グリュオー・ラローズの写真3
URL http://www.gruaud-larose.com
設立
本拠地 Saint-Julien(サン・ジュリアン)
当主 Jean Merlaut(ジャン・メルロー)
畑の総面積 82ha
資料提供 Firadis


❦ 詳細・歴史

メドック地区のほぼ中央、ポイヤックとマルゴーという最も有名なアペラシオンの間に位置するサン・ジュリアンは過小評価されがちだが、メドックで安定したクオリティを求めるならば目指すべき産地である。総面積はメドックの主要なA.O.C.の中で最少となる880ha、11の格付けシャトーだけでこの8割を占める。サン・ジュリアンは一級シャトーこそ持たないものの、5つの二級シャトーを擁し、その内のいくつかは時には一級にも迫ると評される。ロバート・パーカーも「上から下まで、ボルドーのアペラシオンでは最も一貫している」と認めるサン・ジュリアンの中で、グリュオ・ラローズは凝縮感と熟成のポテンシャルを備えたワインの代表格に挙げられる。

1855年の格付けで二級に叙せられたこのシャトーは、1757年にグリュオ家により創設された。18世紀後半には既に高い名声を得ており、一級格付けのシャトーに次ぐ価格で取引されていたという。現在、ラベルに記された「Le Vin des Rois Le, Roi des Vins(王のワイン、ワインの王)」という言葉は、このワインが宮廷で愛でられていた歴史を示しており、王冠はその発展に大きく寄与した当時の所有者サルジェ・ド・ラフォンテーヌ男爵の爵位を表している。

19世紀後半にシャトーは2つに分割されたが、1917年にオーナーとなったボルドーの名門コルディエ家により1935年に再び統合され、同家のバックアップを受けて世界中で広く親しまれた。その後1983年に金融グループに、1993年には通信機器会社のアルカテル・アルストムに売却された。ワイン産業とは関係のない巨大資本の所有になれば、クオリティが落ちるのではと危惧する者もいたが、実際はその逆で、更なる向上を目指し、巨額の費用を投じてシャトー全体で大規模な改修が行われた。1997年に現在の所有者であり、シャス・スプリーンなどボルドーの複数の著名シャトーのオーナーでもあるジャン・メルローの手に渡った時には、セラーの増築や醸造設備の刷新など、必要な設備投資が全て完了した状態だった。

グリュオ・ラローズは20世紀に入り3度も所有者が変わったが、「偉大なヴィンテージでは、一級相当の品質のワインを生み出している」とロバート・パーカーが称賛する通り、数々の素晴らしいワインを一貫して世に送り出してきた。それは偉大なテロワールに起因するだけではなく、1970年から約30年に渡り醸造責任者を務めたジョルジュ・ポリが徹底してクオリティの維持に努めて来たからでもある。彼の卓越した手腕にメルローの改革が加わることで、フィネスとエレガンスが増したと評される。

2007年には、ポリの引退に伴い、エリック・ボワスノがコンサルタントに就任。ポリはしっかりとしたストラクチャーを引き出すため、醸造では抽出を強くする傾向にあったが、ボワスノはテロワールの表現とヴィンテージのキャラクターを尊重した繊細なワイン造りを行う。これまで以上に洗練されたスタイルで表現されるグリュオ・ラローズの個性。新たなポテンシャルとの出会いに期待が高まる。


❦ 畑

グリュオ・ラローズは、サン・ジュリアンのシャトーが集中するジロンド河沿いではなく、内陸の高台に位置している。82haの畑はシャトーを取り囲むように広がり、土壌は主に粘土と石灰の上に厚く堆積した非常に水はけのよい砂利質の層からなる。粘土の含有量はサン・ジュリアンの他の畑よりも高く、これがグリュオ・ラローズの肉厚な力強さに寄与する。土壌の構成要素も豊かであり、一部では粘土質や砂質の区画があることも特徴である。砂利質にカベルネ・ソーヴィニヨン、粘土質にメルロ、砂質土壌にカベルネ・フランやプティ・ヴェルドと、各品種を最適な土壌に植えることができるからだ。平均樹齢は約40年。中には樹齢100年近い古樹も現存する。

この畑のポテンシャルをワインに一層反映させるため、ジャン・メルローはシャトーを取得以降、農薬の使用をやめ、ビオロジックでの栽培に切り替えた。彼が行った改革には、フェロモン剤を用いた害虫対策や、除葉、余分な芽や枝の除去、グリーンハーヴェスト、さらには気象観測所まで設けて天候をチェックする予防的な病害対策も含まれる。光合成の効率を上げるために、以前よりもブドウのつるを長く残してブドウの樹を選定している。更に82haの畑は、ロケーション、品種、土壌、樹齢などに従って75もの区画分けられ、区画ごとに生育状況や収穫時期が細かく管理されている。収穫時の選果は区画ごとに畑とセラーで合計2回行われ、優れたブドウのみがグリュオ・ラローズの名を冠したワインとなることを許される。


❦ 醸造

手作業で収穫後、区画ごとに畑とセラーで2度セレクションを行う。発酵にはセメントタンクとトロンコニックを使用。31-33度でアルコール発酵を行い、テイスティングに従って1日2回ルモンタージュ。マセラシオン期間は21-35日。その後重力システムを使ってフリーランのワインのみを分離し、プレス。マロラクティック発酵にはバリックとオーク樽を用いる。熟成はフレンチオークのバリックで16-18ヶ月熟成(サルジェ・ド・グリュオー・ラローズは14ヶ月)