LINEで送る

Domaine de l’Enclos

ドメーヌ・ド・ランクロ

ドメーヌ・ド・ランクロの写真1 ドメーヌ・ド・ランクロの写真2 ドメーヌ・ド・ランクロの写真3
URL https://www.domainedelenclos.fr/
設立 2015年
本拠地 Chablis(シャブリ)
当主 Romain et Damien(ロマン&ダミアン)
畑の総面積 29ha
資料提供 Firadis


❦ 詳細・歴史

ランクロは2015年に、ロマン&ダミアン兄弟が始めた新しいドメーヌ。
プティ・シャブリからグラン・クリュに至るまで計29haを所有している。兄弟の父がパスカル・ブシャールというネゴシアンを運営していたが、2015年に引退。
その際にネゴシアン事業は売却したが、自社畑は残していた。一方で、兄ロマンはネゴシアンに興味がなく父のネゴシアンを継ぐ意思がそもそもなかったこと、ビオロジックに興味があったことから、2006年に自身のドメーヌであるグランド・ショームを立ち上げていた。父の残した自社畑と兄のドメーヌを統合して兄弟で新ドメーヌとして立ち上げたのがランクロである。
父が引退の際に手放さなかっただけあって、シャブリの中でも珠玉の畑を所有しているがこのドメーヌの大きな特徴である。グラン・クリュのレ・クロ、ブランショ、ヴォーデジールに始まり、プルミエ・クリュではフルショームの最上区画である斜面中腹のラ・フルショームを所有している。


❦ 畑

もう一つの特筆すべき点は、
栽培でビオディナミを取り入れている点である。ブルゴーニュの北限に位置するシャブリは冷涼な気候のため、病害や霜のリスクが高くビオディナミを実施するのが特に難しい。厳しい環境であるにも関わらず、多くの畑を転換し残りの畑でも転換を進めていることから品質へのこだわりが見てとれる。畑での生物多様性を重要視し、土中の生態系を保つために除草剤不使用はもちろんのこと、雑草は鋤き返しを行うことで土中へと還元し、その種子が芽吹くように取り除かず全てそのままにしている。
病害に対しても自然由来のもののみを使用し、銅や硫黄、ビオディナミで用いられるプレパラシオンを使用する。
空気の流れや日照を考慮して剪定を行い収穫は全て手摘みで行われる。通常プティ・シャブリやシャブリでは機械による収穫比率の方が高いことから、彼らがいかに畑で多くの時間を過ごし、慎重に作業を行っているかが分かる。


❦ 醸造

醸造においても、極力人為的な干渉をしない「ハンズオフ」がドメーヌのモットーだ。選果後に空圧式プレス機で圧搾した後、自然酵母のみを使用しステンレスタンクで区画毎に発酵させる。SO2は必要最低限の添加に留め、その他一切の添加を行っていない。献身的な畑作業により熟度の高いブドウを収穫できるからこそ、最小限の介入で高品質なワインを造り出すことが出来るのである。
ランクロは2015年に立ち上がった新しいドメーヌのためメディアには一切出ておらず、知る人ぞ知るワイナリーだ。フランスではポール・ボキューズやベルナール・ロワゾーなどのミシュラン星付きレストランにオンリストされており、国内ではすでに注目されていることが分かる。高品質なグラン・クリュ、プルミエ・クリュが魅力的な値段で手に入るとなれば、今後世界中で評価され人気が急上昇するだろう。絶対に見逃してはならない生産者である。