Domaine Olivier Horiot
ドメーヌ・オリヴィエ・オリオ
❦ 詳細・歴史
コート・デ・バールの中心地トロワ(Troyes)から南東に約40kmほどいったレ・リセ(Les Ricey)に本拠を置くドメーヌ。
当主オリヴィエ・オリオ(Olivier Horiot)の父セルジュ(Serge)は、リセにある協同組合の代表を務めており、セルジュ・オリオの名称でそのワインを販売している。2000年、オリヴィエは、自らのブランドでワインを造りはじめ、ロゼと赤ワインにのみ焦点を絞ることとした。
彼は語る「シャンパーニュを造るよりも、スティルワインを造るほうに刺激を感じるのです」「シャンパーニュ地方でもっともシャンパーニュ地方人らしくないでしょう」近年シャンパーニュも造り始めたのだが、それでもまだ生産量の2/3はスティルワインとなっている。
❦ 畑
現在オリオは約7ha弱を所有しているが、そのうち1/3を自らのワイン用に使用し、1/3を協同組合向け、さらに残りの1/3をネゴシアンへの売却用としている。オリヴィエは全ての醸造過程にこだわりぬいており、他の情熱あふれる新世代の生産者の例に漏れず、オリヴィエ自身も環境に配慮した栽培法を実践する情熱的な生産者である。オリヴィエはドメーヌを引き継ぐと同時に化学肥料や除草剤の使用を中止し、2002年からは自身のブランドでリリースするワイン用の区画でビオディナミを採用。2013年よりEcocertのBIO認証、2016年よりBiodyvinのBiodynamie認証を取得している。
❦ 醸造
オリオではそのテロワールにも重きを置き、リセに持っているバルモン(Barmont)とヴァラングラン(Valingrain)という二つの畑をそれぞれ別に醸造している。その結果オリオ名でのシャンパーニュを新しくリリースできるようになり、バルモンの畑からはロゼと赤のスティルワイン、白とロゼのシャンパーニュをリリースしている。バルモンは東〜南東向きで粘土質の土壌。「バルモンのワインには特に赤い果実味が溢れていて、この畑から生まれるロゼや赤のスティルワイン、またシャンパーニュは常に好まれるものとなります」これとは対照的にヴァラングランは南向きで他の畑と共通した粘土質石灰土壌となっている。より軽く優れた粘土質で、生まれるワインもまた軽く優れたワインとなる。「控えめで繊細なワインで、熟成能力も備えています」
ロゼと赤のスティルワインはカルボニック・マセラシオンを採用しているが、それはきれいな色合いを出すことができ、同時に野菜や草のような青い香りは出さないためだという。多くのロゼ・デ・リセは4〜5日間のマセラシオンで造られているのだが、オリオでは全房を使用して7〜8日間かけて行っている。ブルゴーニュのドメーヌ・ダルロ(ニュイ・サン・ジョルジュ)の1年樽(バリック)を使い、自然酵母を使用し出来る限り時間を掛けゆっくりと醗酵、翌年の秋まで澱と共にエレヴァージュ。清澄も濾過もせずに瓶詰め。「木樽で醗酵しても、タンクでの醗酵後に春に樽に移すよりも樽の風味がより少なくなることに気づきました」ビオディナミを採用することで得られたワインの特質こそが、木樽を使ってワインを醸造できることにつながったのだという。
2004年からオリオはブラン・ド・ノワールとロゼ・ド・セニエのシャンパーニュを造り始め、同じ年に通常よりも熟したシャルドネを使った白のコトー・シャンプノワも造り始めた。2006年には、サンク・サン(5 Sens)と呼ばれることになるシャンパーニュ用にピノ・ブランとアルバンヌを1樽づつ造り始めた。サンク・サンはピノ・ブランとアルバンヌの他にシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエをバランスを整える為に加えた5品種で作られたシャンパーニュ。1400本のみがリリースされているが、これは実験的な意味合いも含んでいるのだという。「この程度の少ない本数では、そのリスクはほとんど無いのです。もし何か問題が発生して販売することができなくなっても、飲んでしまえばいいんですから」
オリオのロゼは、この地域のワインにはほとんど見られないような洗練されたところがあり、ピュアでシルキー。ビオディナミで栽培された単独畑産のロゼ・デ・リセは、シャンパーニュ地方全域で見て人目を引きにくいワインには違いないが、その素晴らしい品質と特質を備えたワインは探し求めるに足るワインだろう。同様にテロワールを繊細に表現した彼のシャンパーニュもまた、今後何年にもわたって愛好家の興味を引き続けることになるだろう。