Fernand Vauversin
フェルナン・ヴォーヴェルサン
❦ 詳細・歴史
コート・デ・ブランのオジェ村で15世代続くフェルナン・ヴォーヴェルサンは長年ポール・ロジェに葡萄を供給してきた小さな蔵元。現当主Bruno Vauversinブリュノ・ヴォーヴェルサンの祖父の代から元詰めを開始した。4haに満たない自社畑の殆どがオジェ村にあり,シャルドネのみを栽培している。ドメーヌでは古くから厳格なリュット・レゾネを行い,自然な葡萄栽培と醸造を行ってきたが,アンセルム・セロス(ジャック・セロス),エリック・ド・スーザ(ド・スーザ),ピエール・ラルマンディエ(ラルマンディエ=ベルニエ)といったモダン・シャンパーニュの造り手達の薫陶を受けたブリュノが,父からドメーヌを継承した1998年を機に樽発酵・樽熟成のシャンパーニュ造りを開始。ゴーミョー,ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス,アシェットなどに取り上げられ一躍ワイン専門家や評論家の注目を集めるようになった。現在畑仕事の全てを一人行っているため実践出来ずにいるバイオダイナミック農法にも当然関心を持ち,ド・ソーザ,ラルマンディエ=ベルニエなどで修行中の息子が家業に参画するのを待ち全面的に切り替える予定だ。また,現在畑の3割で行なっている耕耘も全ての畑で実践する計画。
ドメーヌの最大の特徴は,オジェ村産シャルドネの個性である「グラ=粘性」を生かした<リュー・ディ>シャンパーニュだ。スタンダード・キュヴェ以外の2種類のシャンパーニュは,いずれもミレジメや樽発酵に適性を示す高樹齢や葡萄が完熟する南向き斜面のリュー・ディを選り抜き,単一年の葡萄のみで仕込まれる。ジャック・セロスのレ・キャレルとラ・コート・ファロンのリリースで今や決定的なった<ブルゴーニュ的シャンパーニュ>という時代の流れをいち早く導入しているのだ。しかし,伝統の良いものは残すという姿勢も失ってはいない。なぜなら,今では殆ど使われなくなったポワンタージュという手法を採用し続けているからだ。これは瓶内熟成中の澱の詰まったボトルを手で振って澱を攪拌する方法だ。コート・デ・ブラン地区では昔から用いられていたが手間が掛かりすぎるため廃れてしまった。しかしスティルワインにおけるバトナージュと同様,澱の旨みと香味を引き出すため,ムルソーのような粘性を備えたシャルドネにはうってつけの方法だ。つまりブリュノ・ヴォーヴェルサンは,オジェ村の個性を活かし,ブルゴーニュ的シャンパーニュの中でも<ムルソー的シャンパーニュ>を志向しているのである。
<リュー・ディ>のキュヴェの生産量は年間僅か1~2千本と大変稀少です。今後,益々細分化が進むであろう<リュー・ディ>シャンパーニュ,その中でもムルソー的シャンパーニュを求めるのであれば,ヴォーヴェルサンは外せません。
❦ 畑
ドメーヌの総栽培面積は,わずか4ヘクタール弱。所有する畑のほとんどがオジェ村にあり,シャルドネのみを栽培している。所有する区画の半分以上が樹齢30年を超えるヴィエイユ・ヴィーニュで構成されている。一部所有するプルミエ・クリュの畑や樹齢の若い区画のブドウは,すべてネゴシアンに売却される。
栽培は古くから厳格なリュット・レゾネを行っている。アンセルム・セロス(ジャック・セロス),エリック・ド・ソーザ(ド・ソーザ),ピエール・ラルマンディエ(ラルマンディエ=ベルニエ)らと親交があることから,バイオダイナミック農法にも興味を持っているが,現在は1人で畑仕事をすべて行っているため,実現できずにいる。ド・ソーザ,ラルマンディエ=ベルニエなどで修行中の息子がドメーヌに参画する時期を待ち,全面的にバイオダイナミックに切り替える計画。 また,現在は畑の3割で行われている耕耘も(耕耘を行うため,除草剤などは一切使用しない),将来的にはすべての畑で実践する予定。
❦ 醸造
収穫はすべて手摘み。キュヴェに応じて小樽,もしくはホウロウのタンクで発酵を行う。マロラクティック発酵の実施もキュヴェに応じて異なる。
リュミュアージュ(=動瓶)は今も伝統的に手で行われ,5-6週間かけて毎日8分の1ずつボトルを回転させていく。ドザージュも手作業で行い,機械は一切使わない。
ドメーヌの特徴はドザージュとSO2の添加を低く抑えていること。そして,「濃厚,力強さ,豊満」といった味わいも,ドメーヌのシャンパーニュの大きな個性である。