Maxime Oudiette
マキシム・ウディエット
❦ 詳細・歴史
ドメーヌは、エペルネーの南20 キロのBeaunay ボーネイの村に本拠を置いています。ボーネイは、ユリス・コランが本拠を置くCongy コンジーと同じCoteaux du Petit Morin コトー・デュ・プティ・モラン地区にあります。この地区には、⾧らくユリス・コランに続く若手グローワーが出てきませんでしたが、いよいよ新世代のグローワーが現れました。1989 年生まれのマキシム・ウディエットです。マキシムは1920 年代から続くブドウ栽培農家の4 代目。高校卒業後、アヴィーズの醸造学校でブドウ栽培と醸造学を修め、アンセルム・セロスでの研修を経て、2012 年に家業に参画しました。その後、両親からドメーヌを引き継ぎ2015 年に自前の醸造所を建設して初めてのシャンパーニュ造りに着手しました。ボーネイはコート・デ・ブランと一続きの段丘を形成する波型に入り組んだ丘陵にあります。大部分の畑が、最大限の日照を享受する南、南東、南西向き斜面に位置しています。ボーネイの基盤岩は、白亜紀カンパニアン期の円石藻の沈殿によって形成されたチョーク(白亜)です。表土は場所によって泥灰や粘土、砂岩が現れています。ドメーヌの栽培面積は約2.6 ヘクタールで平均樹齢は34 年。シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ、ピノ・グリを栽培しています。7 つの異なるリュー・ディにそれぞれ1 区画、合計7 区画を所有しています。6 つの区画はボーネイに、1 区画のみヴァレ・ド・ラ・マルヌCelles-lès-Condéセル・レ・コンデにあります。
❦ 畑
栽培に関してはヴィニュロンとしての良識と感性に立脚して、ビオとビオディナミ、パーマカルチャー(サステナブル)、そしてアグロフォレストリーの間でバランスの取れた方法を行っています。殺虫剤や除草剤、化学薬品などは一切使っていません。人の目が十分に行き届く広さであるため、エコシステムに最大限の配慮しながら、自宅の庭のように手間暇をかけて栽培を行っています。ドメーヌでは、バランスの取れた生態系を発達させ、土壌がより生命力溢れるものにするためブドウ畑で10 年間クローバーを育ててきました。そして数年前からは、自生植物が自然にブドウ畑で育つように促しています。また、土壌の微生物を活性化し、ブドウ木がベト病や灰色カビ病に対しての耐性力を持つように、年間を通して、イラクサやゴボウ、セージ、ホーステイルなどの発酵抽出物を畑に撒いています。また、畑の小動物相を活性化するために、ネトルやコンフリーなどのビオディナミのプレパラートも散布します。畝の間にはカバークロップを自然に生やし、地中のミネラル作用を促進して、自生植物とのバランスを取るために、表土の耕耘も定期的に行っています。
ヴィニュロンは植物と生き物の最も近くで働いています。つまり、ヴィニュロンが取る行動の一つ一つが、畑の自然の調和を維持し、可能な限り最も正確なテロワールの「情報」をワインに伝えることができるとドメーヌでは考えています。そして、それぞれのリュー・ディが、ブドウやワインとどのように結びついているかをヴィニュロンが理解することによって、ヴィニュロンの仕事とワインが相互に影響し合って感動を呼ぶワインが生まれるとマキシムは考えています。
❦ 醸造
マキシムは、醸造とはヴィニュロンによる一年の仕事と一年の天候の記録、そしてテロワールの情報の総合と考えています。そして、ヴィニュロンの仕事の80%は、畑で行われると考えています。このため、ワインを自分の目的や理想へと人工的に導くことは一切しません。ワインは人間の介入が少なければ少ない程、より正確にテロワールの情報を表現してくれるからです。ドメーヌでは、親が子供に向き合って育てるように、ワインに寄り添い、ワインを理解し、ワインを育んで(醸造して)います。ブドウは全て栽培されたリュー・ディ毎に、別々に醸造されます。これは、テロワールがワインに与える影響を理解するために、最も大切なことであると考えています。収穫に際しては、ブドウの果肉、果汁、種を味わい、常に最適な成熟を追求しています。手摘みで収穫して小さな籠で醸造に運ばれて圧搾したマストは、亜硫酸無添加でバリック(新樽は用いない)に移し、野生酵母で自発的に発酵させます。ワインは発酵も熟成も全て樽で行います。木樽は微量な空気を通して、ワインを呼吸させて、成⾧させてくれるからです。また、醸造中ワインはずっと澱とコンタクトしたままにします。このため熟成中の澱引きは一切行わず、ティラージュの数時間前に一度だけ行われるだけです。澱はワインを育み豊かにし、酸化から守り、ヴィンテージの特徴を時間を掛けて持続的にワインに刻印してくれるからです。また清澄や濾過や冷却なども一切行いません。マキシムは同じ新世代のグローワーであるフラヴィアン・ノワックやフロラン・ミニョンと友人で頻繁にブドウ栽培やワイン醸造について意見交換をして、感性を高めています。
Les Gras d’Huile レ・グラ・デュイルはドメーヌが所有する最も大きな区画。栽培面積は1.0013 ヘクタールで、南東向き斜面。1993 年植樹のシャルドネが栽培されている。表土の90 センチは褐炭粘土で、そこから母岩までの40 センチは固い石灰質。基盤岩は柔らかなチョーク。表土の褐炭粘土は、特に雨が降った後に油性のある外観を呈し、非常に粘り気のある地質。それがリュー・ディ(レ・グラ・デュイル=『油のような粘土』の意味)の名前の由来になっています。実際、このリュー・ディを見学した時に、にわか雨が降ってきて靴が泥だらけになってしまいました。非常に粘り気のある土で、靴にベタベタに付着して取り除くのに非常に苦労しました。
ドメーヌは、その他に以下のリュー・ディに区画を所有しています。
Les Bas Vigny レ・バ・ヴィニー 0.1158 ヘクタ-ル
Les Gourdaines レ・グールデンヌ 0.1996 ヘクタール
Les Hautes Sources Souris G レ・ゾート・スルス・スリG 0.0521 ヘクタール
Les Hautes Sources Souris D レ・ゾート・スルス・スリD 0.1682 ヘクタール
Les Cormonts レ・コルモン 0.1560 ヘクタール
Les Vignettes レ・ヴィニェット 0.8960 ヘクタール