Emilien Feneuil
エミリアン・フヌイユ
❦ 詳細・歴史
エミリアン・フヌイユはプティット・モンターニュのセルミエに本拠を置くグローワーです。僅か2.37ha のドメーヌでピエール・マッソンから教えを受けたビオディナミで耕作しています。これまではルクレール・ブリアンなどにブドウを売却していましたが、大親友であるオーレリアン・ルルカンとトマ・ペルスヴァルに触発され2015 ヴィンテージから自身のシャンパーニュとコトー・シャンプノワを造り始めました。
ドメーヌは、ランスからエペルネへ向かう直線道路D951 の⻄側、プティット・モンターニュ地区のセルミエのコミューンに本拠を置いていま
す。セルミエの村の名前はSarm サルムという⾔葉に由来しています。これは、塩分を含んだセルミエの土壌を示す⾔葉で、ワインの味わいの中に感じられる塩味の要素のことです。ドメーヌは、セルミエ、シャムリー、エキュイユの3つの村に点在する合計2.37 ヘクタールの畑を所有し、ピノ・ムニエ43%、シャルドネ28%、ピノ・ノワール22%、プティ・メリエ7%の4 品種を栽培しています。ドメーヌの主要な区画は以下の通りです。
❦ 畑
収穫は手摘みです。エミリアンは収穫時のブドウの温度に非常に気を使っています。このため、摘み取り作業は気温の低い早朝から午前中にかけて行っています。コトー・シャンプノワもシャンパーニュのベースワインも全てバスケットプレスで圧搾し、温度管理を行わずに野生酵母で樽発酵、樽熟成させます。
❦ 醸造
樽は228リットルと450リットルの中古樽を使用。マロ発酵は自然に実施。冷却安定や澱引き、清澄、濾過などは一切行わずに、シャンパーニュは収穫翌年の9月にティラージュ。コトー・シャンプノワは収穫翌々年の5月に瓶詰めします。SO2は圧搾時に30mg/l添加(2015年時点)するのみで、その後は醸造中も瓶詰めの際も無添加です。SO2の使用量は年々減らしているそうです。
エミリアンは、赤ワインのマセレーションに関しては、ワインとタンニンの上品な質感を得るために、優しくソフトに行うことが非常に重要であると考えています。このため、ピジャージュが必要な場合はごく軽く果皮を果汁に沈めるにとどめ、ルモンタ-ジュも手作業でソフトに優しく行っています。また、清潔を保持するため、醸造に使う樽は収穫前に徹底的に洗浄しています。これはオフフレーバーを避けるために非常に重要な作業と考えています。
エミリアン・フヌイユは2006 年に⽗の引退に伴いドメーヌを継承しました。それまでネゴシアンにブドウを売って⽣計を⽴てている栽培農家だったため、最初はルーティーンな仕事をしていました。しかし、ピエール・マッソンと出会い、彼から良識あるビオディナミを教わり、ビオディナミに開眼。ドメーヌの畑をビオディナミに転換し、畑仕事に没頭するようになりました。毎日畑を注意深く観察し、その変化に耳を傾けることに専心しています。ドメーヌを訪問した際も、日中は畑仕事が忙しいとのことで、アポの時間は夕方の17 時半でした。それほど⼊念に畑仕事をしているのです。エミリアンは畑に野⽣の木を⽣やしたままにしています。木がブドウのじゃまになっていても引き抜かず、自然のままにしています。雑草や花、下草も取り除きません。⽣物多様性の維持のためです。白ブドウはシャブリ式、赤ブドウはコルドン・ド・ロヤで剪定し、厳格に掻きを⾏いますが、その後はロニャージュもグリーンハーヴェストも除葉も⾏いません。ブドウ木に過剰なストレスをかけず、自発的に成⻑するままにしておくのです。畑の表土は砂、マール、粘土で、基盤岩はチョーク(白亜)。このチョークの影響で、特に赤ワインには塩味やミネラルが現れるのがドメーヌのワインの特徴です。耕耘表土を春先に1〜2 回耕します。ドメーヌでは、ルクレール・ブリアンやユレ・フレールにブドウを売っていましたが、大親友であるオーレリアン・ルルカンとトマ・ペルスヴァルに触発された、2015 ヴィンテージから一部のブドウで元詰めを始めました。エミリアンは単一年のワインとミレジメのシャンパーニュしか造りません。2015 ヴィンテージの総⽣産量はシャンパ-ニュとコトー・シャンプノワの全7 種類のキュヴェを合わせて僅か3800 本。初ヴィンテージは2019 年の年末にリリースされたばかりですが、地元ランスのワインショップで大評判になっている他、アメリカ、オランダ、ベルギー、イタリアなどにも輸出され始めています。