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Domaine Philippe Vandelle

ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデル

ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルの写真1 ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルの写真2 ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデルの写真3
URL http://www.vinsphilippevandelle.com
設立 2001年
本拠地 L'Etoile(レトワール)
当主 Philippe Vandelle(フィリップ・ヴァンデル)
畑の総面積 13ha
資料提供 Firadis


❦ 詳細・歴史

ブルゴーニュ地方のボーヌから東へ約100km、スイスとの国境に近い丘陵地帯に畑が点在するジュラ地方は、長いワイン造りの歴史を持ち、19世紀中ごろには2万ヘクタールに40品種が植えられていたという。19世紀末のフィロキセラ禍により栽培面積は大きく減少したが、ワインの多様性と独自性は守られた。シャンパーニュ製法で造られるクレマン・デュ・ジュラを始め、白、赤、ロゼ、そしてこの地の高貴な土着品種サヴァニャンから生まれる美食のための偉大なワイン、ヴァン・ジョーヌ。更に、この地方はワインだけではなく、ブレス鶏やコンテなど、食を探求する者にとって特別な魅力があると評される。

そのジュラの中でも、ヴァン・ジョーヌを含め、白に特化した別格の産地がレトワールだ。小さな星の形をしたウミユリの茎の化石がよく見られること、また、畑が広がる5つの丘の配置が星のように見えることから、フランス語で『星』を意味する名を持つこのサブ・アペラシオンは、ジュラの中央部に位置し、レトワール村を中心に合計4つの村で構成される。総栽培面積は70haにも満たないため、日本はおろか、現地フランスでも目にすることが珍しいワインだが、その名の通り綺羅星のごとく優れたワインを生み出している。

フィリップ・ヴァンデルは、ワイン評論家ヒュー・ジョンソンが、レトワールのトップ生産者に名を挙げる造り手だ。1883年からレトワール村に続く生産者の6代目となる彼は、父と叔父が共同で運営するシャトー・ド・レトワールでワインを手掛けていたが、2001年に畑の一部を相続して独立し、自身のドメーヌを設立した。

13haの畑は全てレトワールにあり、主に粘土石灰質土壌にはシャルドネを、この地特有の灰色をした石灰泥灰岩質土壌にはサヴァニャンを栽培している。レトワールのテロワールの表現を目指すフィリップは、持てる限りの時間を畑で過ごしている。畑仕事はリュット・レゾネで行い、土を鋤き耕し、また凝縮したブドウを得るために収量もアペラシオンの許容値の約60%まで制限している。

フィリップにワイン造りについて尋ねると、代々受け継いできたジュラの伝統的な手法こそ自分のスタイルだ、という答えが返ってくる。白ワインはアルコール発酵後、ブルゴーニュの228Lの古樽のみで長期間熟成されるが、その間、目減り分を継ぎ足すウイヤージュの作業は行わない。そのため、樽内ではワインの表面にフルール・デュ・ヴァンと呼ばれる酵母の膜が形成され、ワインを酸化から守る。同じく産膜酵母とともに熟成させたワインであるシェリーと比べると、この酵母の膜は薄い。クリームのような厚い層になるとワインにマッシュルームや古くなったバターの風味をもたらすからだという。ヴァン・ジョーヌには最大限熟すまで待って収穫したブドウが用いられ、その熟成期間は6年を超える。

醸造にはSO2をほとんど用いず、常にクリーンな醸造を心がけている彼のワインには、ジュラ独特の酸化の風味は他の多くの生産者よりも控えめで、ミネラル豊かな味わいは非常にピュアで美しい。クオリティの高さに注目が集まるレトワールのクレマンにおいても、フィリップの作品は群を抜いている。
フランスの主要ワインガイドのひとつ、ベターヌ&ドゥソーヴで、「申し分ないクオリティが非常にリーズナブルな価格で揃っている」と評される通り、クレマンからヴァン・ジョーヌまで、一貫したクオリティの高さはレトワールのみならず、ジュラを代表する白の生産者と呼ぶにふさわしい。


❦ 畑

土壌 粘土石灰質、灰色の石灰泥灰岩質

栽培方法 リュット・レゾネ。畑を鋤き耕し、収量をアペラシオンの約60%まで制限。


❦ 醸造

醸造方法 クレマン:ベースワインのアルコール発酵は、ステンレスタンクにて自然酵母で行う。その後、24ヶ月瓶内2次熟成。
白:ステンレスタンクにて自然酵母でアルコール発酵後、ブルゴーニュ樽(228L)の古樽でウイヤージュせず薄い酵母の膜とともに長期熟成。