Château Barouillets
シャトー・バルイエ
❦ 詳細・歴史
ボルドー地方サンテミリオンから東に 50 km下った南西地方、ドルドーニュ県 の Pomport/ポンポール村にドメーヌは所在。現在のオーナーは Alexis/ア レクシス家。それ以前は、母方の家系がドメーヌを継いだりしたこともあったの で、詳細は定かではないが、かなり古くからこの土地に住み農業を営んでき た一族である。60 ヴィンテージ以上のワインを仕込んだ経験を持つ祖父の Yves/イヴ氏、40 ヴィンテージを手掛けた父の Gérard/ジェラール氏、 2010 年から加わり、オーガニックを志向した Vincent/ヴァンサン氏の 3 世 代が運営している。8 代前まで遡れる古いドメーヌなので、畑は非常に良い 区画を所有し、樹齢も高く、ワイン造りの経験値も豊富。
❦ 畑
畑はベルジュラック南部にトータル 45ha を所有。5つのエリア
に分かれる。
1モンバジャックに 20 ha所有。このエリアの中では 175m と
標高が高い。平均樹齢 50 年。5000 本/ha の高密植。収
量は 25hl/ha ほどにしかならない。セミヨンが大半だが、ミュス カデル、ソーヴィニヨンブランとグリ、オンダンク、ユニブランなども
植わっており興味深い。AOP の許可品種はセミヨン、ソーヴィ
ニヨン・ブラン、ミュスカデルで甘口になる。
2ベルジュラック(ルージュ)に 9 haを所有。Mescoules/メスクル村と Pomport/ポンポール村にあり、東と西向きに畑 が広がっている。表層は泥砂、下は石灰質の土壌に、4000 本/haの密植度で平均樹齢 30 年のブドウが植わる。収量は 約 50hl/ha。ブドウはカベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、マルベック。ヴィンテージによってアッサンブラージュの配 合を変えたり、一部がロゼになったりする。AOP 規定では最低でも 2 品種のアッサンブラージュが必要。
3ぺシャルマンに 5ha を所有。Creysse, Bergerac, Lembras, Saint-Sauveur の4つのコミューンを含むが、シャト ー・バルイエは北側の Lembras/ランブラに 5ha を所有する。南向きの緩やかな斜面。土壌はモザイクのように多彩。小石 やシレックスが散らばるところもあれば、砂混じりの粘土のところもある。その下の層は、白っぽい粘土と鉄分の混じった粘土 質土壌で Tran/トランと呼ばれるぺシャルマンに特徴的な土壌。これが独特の味わいをもたらすと云われる。平均樹齢は 25 年。密植度は 5500 本/ha。収量は約 40hl/ha。ブドウはメルロ、カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、マルベックで 赤のみ。ぺシャルマンはベルジュラックの中では格上のアペラシオンなので、彼らもここから少し離れたカーヴで醸すことを避け、 ぺシャルマンの畑の中にもう一つのカーヴを所有する。 4コート・ド・ベルジュラック・モワルーに1haを所有。メスクル村の乾燥した石灰質の丘の上の区画。平均樹齢は 40 年。
密植度は 4000 本/ha。収量も 50hl/ha と自然に少なくなり、酸と甘みのバランスが自然にとれる。ブドウ品種はミュスカ デルが主体だが、シュナンとソーヴィニヨンも植わっている。
5その他に 10ha を所有。メスクル村とポンポール村に9つの区画が点在しており、これらの土壌は石灰質であるため、白 ワインを造っている。密植度は 5000 本/ha。平均樹齢は 54 年。収量 50hl/ha。品種はソーヴィニヨンブランとグリ、セミ ヨン、シュナンブラン、シャルドネ。
それぞれのアペラシオンのテロワールを表現すべく「昔ながらの農家への回帰」を目指した結果、2010 年から本格的にオー ガニック栽培に取り組み始めた。2014 年には一部のキュヴェでユーロリーフ認証 を取得し、いずれはすべてのキュヴェで取得予定。現在はビオディナミカレンダー も利用し、土壌の負担をできる限り減らすため、ハーブティーや煎じ汁も活用し ている。除草剤は使わないので、除草のために地面を耕したり、草を刈り込んだ りと、土壌やその年の気候の状態を見ながら、ワインがいつも最上の出来栄えと
なるように作業をする。
❦ 醸造
醸造作業は畑仕事の段階で既に始まっているとの考えから、空気 式の圧搾機、蠕動式のポンプなどを採用し、ブドウをできるだけ傷 つけないようにする。刺激の強い成分は避け、SO2 に関してもホメ オパシーを応用して添加量
をできるだけ抑える(無添 加のキュヴェもある)。そのた め、カーヴは常に完璧に清 潔な状態に保たれている。
自然酵母醗酵。大半のワインにはフィルターをかけない。熟成にはセメント、ステンレ ス、樽、アンフォラなどをキュヴェによって使い分ける。新樽の使用比率は低い。