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Clos Basté

クロ・バステ

クロ・バステの写真1 クロ・バステの写真2 クロ・バステの写真3
URL
設立 1998年
本拠地 Moncaup(モンコー)
当主 Philippe & Chantal Mur(フィリップ・エ・シャンタル・ミュール)
畑の総面積 10ha
資料提供 Vivit


❦ 詳細・歴史

クロ・バステは、ボルドー大学で醸造学を修めた後、マディランの名門ドメーヌ「ピエール・ラプラス」の醸造⻑を務めていたフィリップ・ミュールによって1998 年に創設された新鋭ドメーヌです。畑も醸造所もなく、全くのゼロからスタート したドメーヌですが、引退したマディランの造り手達の小さな区画を少しずつ買い足して栽培面積を広げていきました。ドメーヌでは異なる形態の植物の栽培や月齢カレンダーの採用、ブドウと土壌における生命力学の一般的な哲学など、ピエール・ラプラスにおいて実践で習得したビオディナミを導入して、テロワールと環境を遵守した自然なワイン造りを行っており、2011 ヴィンテージからは有機認証も受けています。
当初は全くの無名でしたが、フランスで月 60 万部も売れる食とワインの No.1専門誌『キュイジーヌ・エ・ヴァン・ド・フランス』において、2002 年の南⻄ 地方の「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」に選出されたのを皮切りに、今ではワイン・ アドヴォケイト、ル・モンド、ル・フィガロ、ギド・アシェット、ゴー・ミョーなど数多くの メディアに取り上げられています。また、バイタリティに溢れた数多くのミシュラン二ッ星、一ッ星レストランにもオンリストされています。2000 年の世界No1 ソムリエ、オリヴィエ・プシエも 2012 年にパリのミシュラン二ッ星レストランで行われたプレス向けのディナーでドメーヌのマディランをセレクトしました。
最近でも、ドメーヌのキュヴェがデカンター誌の「Top 50 Wines of the year 2013」に選出。フランス全土の 2013 ヴィンテージのワインを特集した RVF 誌の 2014 年 6 月号でも、南⻄地方の「ワイン・オブ・ザ・イヤー」に選ば れるなど、クロ・バステは、今や≪21 世紀のマディランの旗手≫として南⻄を代表する新世紀ドメーヌへと成⻑しました。


❦ 畑

有機肥料と堆肥の施肥、耕耘、秋の播種による草生栽培、芽かき、除葉、グリーン・ハーヴェストなど、全ての作業が、畑のテロワールと環境を遵守する自然な方法で行われています。畑の耕耘は、ブドウ木の均衡にとって有益なバランスの取れた有機物の活動を促進し てくれるため、非常に大切な作業です。畝の間は、鋤とインターセップを交互に用いて土を耕しています。施肥に関しては、場合によっては堆肥や有機肥料を用いることもありますが、 殆ど行っていません。緑肥とは少し異なりますが、秋に幾つかの植物を播種します。例えば、 エンバク(オーツ⻨)のような穀物は土を換気し、土をしっかりさせる働きがあります。また、 空豆のような野菜は地中に窒素を供給する働きがあります。これらの植物は春に畑を鋤く際に土と一緒に耕し、畑にすきこんで肥料にしてしまいます。また、数年前から、ドメーヌではブドウ木と一緒に畑に他の植物を栽培しています。なぜなら、特定の植物は耕耘をするよりもより上手く地中に空気を取り入れてくれるからです。また、別の特定の植物は堆肥を使うよりもより良い形で土を豊かにしてくれます。さらに、別の他の植物はマルチングよりも上 手くブドウを守ってくれます。このように多様な植物を畑で栽培することによって、自然に補完性が生まれ、様々な利点があるのです。ドメーヌでは可能な限り多様な草生栽培を自然な方法で行っています。様々な植物が実をつけるように自然に任せています。
剪定方法はグイヨ・サンプル式の短小剪定です。芽かきを 5 月に行います。開花の後の除葉の作業には特別の注意を払っています。手作業で行う根気のいる時間のかかる仕事ですが、除葉の作業は品質を決定づける極めて重要な作業です。また、ドメーヌではブドウ木の自然な樹勢が低くなるような栽培を行っています。樹勢が低くなることによって、摘心やグリーン・ハーヴェストの必要性が少なくなり、場合によっては不要になるからです。したが って、ドメーヌでは摘心を全く行わない区画が殆どです。摘心を行う区画がある場合でも、摘心は年に多くても1 回か2 回しか行いません。もし、ヴェレゾン(色付き)の際に樹勢が強い(負担がかかっている)ようであれば間引きを行いますが、システマティックには実施し ません。このようにしてバランスの取れたブドウ木は、自然に適切な数の房を付けるため、収量(平均 30〜35 ヘクトリットル)も自然に低くコントロールすることができるのです。


❦ 醸造

収穫は手摘みで、その場で直ぐに選果を行います。ブドウは区画ごと、品種ごと、完熟の状態に応じて別々に摘み取られます。収穫日は、収穫が近づいた段階で毎日各区画のブドウの漿果を味わって、特にブドウの皮の成熟度を確かめて決定します。ドメーヌでは、容量 40 ヘクトリットの幅広の発酵漕で発酵を行っています。これは、容量の少ない発酵漕を使うことで、区画別に醸造することが可能になることと、果帽の厚みが通常よりも薄くなり、より穏やかに色素を抽出することができるためです。キュヴェに応じて 4〜5 週間の発酵と果皮浸漬を施し、IGP を除くキュヴェは容量 400 リットルのフランス産オークの樽でマロラクティック発酵と熟成が行われます。清澄は行わず、ごく軽く濾過して瓶詰めされます。フィリップは、「力強さと肉付きの良さの調和、フレッシュ感、バランスの取れた芳醇さ」が、他 のマディランのドメーヌと比較した場合のクロ・バステのワインの特徴と考えています。