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Château la Trochoire

シャトー・ラ・トロショワール

シャトー・ラ・トロショワールの写真1 シャトー・ラ・トロショワールの写真2 シャトー・ラ・トロショワールの写真3
URL
設立 2015年
本拠地 Couziers(クジエ)
当主 Bastien Rocour(バスチアン・ロクール)
畑の総面積 3ha
資料提供 VIN CROSS


❦ 詳細・歴史

ドメーヌのオーナーはロクール家。2015 年に畑を購入し、1993 年生まれの Bastien Rocour/バスチアン・ロクール氏が白 ワインのみを造る。畑はシノンの西側 Couziers/クジエ村に所有する。この区画は 2016 年に AOP シノンとして認定された のだが、本来この一帯は作家フランソワ・ラブレー氏(著書に「ガルガンチュアとパンダグリュエル」など)の生まれた村の名前に 因んだ Côtes de Seuilly の認定を望んでいた。ところが残念なことにそれは許さず、AOP シノンに組み込まれたという経緯 がある。独自のアペラシオンを取得しようとしていただけあり、石灰と砂が主体のシノンのテロワールとはやや異なり、粘土ともろ い石灰の混じる土壌が特徴的である。そのため、バスチアン氏はカベルネフランよりもシュナンブランの栽培に適していると考え ている。カベルネフランは、ポリフェノールと果実の熟する時期が一致しづらいブドウであるため、青臭さが出やすい。シノンにお いてもルネサンスから 18 世紀までは、オランダ人やイギリス人が白ワインを好んだため、かつてはシュナンブランが多く育てられ ていた。現在、AOP シノン・ブランはシノン全体ではわずか4%の生産量に減ってしまった。そのうち白のみを専業で造っているのはこの生産者のみ。バスチアン氏の父は獣医で、ワイン好きが嵩じてシャトーと畑を購入。シャトーは 17 世紀に建てられており地下に広いカーヴがあるので、この場所 で古くからワインが造られていたことは間違いない。ブドウ畑は最大でも5ha、約2万 1000 本までの生産量に抑え、小規模で丁寧にワインを造っていきたいと考えてい る。残りの敷地は大麦を育ていずれはビールも造る予定。その他に野菜の栽培や牧畜も行い、昔ながらの複合経営を目指している。


❦ 畑

ブドウ畑は5ha まで拡大の予定だが、現在3ha を耕作中。ゆるい傾斜の長方形の畑が、丘の上部に東西 に伸び、樹齢約 30 年のシュナンブランが植えられている。これらはヴィエンヌ川(ロワール川の支流)から 600m 弱の丘にあるが、川により近い場所は AOP シノンには入らない区画のため、いずれシュナンブランと系統 の近いサヴァニャンを植える予定だ。畑は購入当初はオーガニック栽培ではなく、ロクール家が本格的なビオロジ ック農法を実施。冬季からブドウの芽が出るまでの期間に、羊を畑に放して除草する。春になると畝に Féverole(フェヴロール:ソラマメの一種)を植えて土に窒素を与え、Avoine(アヴォワンヌ:燕麦)とライ 麦を植えて土を柔らかくする。その後、霜害の心配がなくなってから草を土に鋤き込む。土壌は 50 cmの表土ま では粘土が多く、さらに先はもろく崩れやすい石灰。


❦ 醸造

バスチアン氏は法律を学んだ後、2015 年にソミュールの醸造学校に2年間通ってワイン造りを学んだ。ワ インの醸造法については他のオーガニックワインの生産者との交流から多くを学んでいる。醸造法で面白い 点は、まず樽発酵をしてからファイバータンクで熟成をすること。当初はタンクで発酵するほど十分な量がな かったためだが、樽によって味が大きく異なることに気づき、今後も樽発酵をしてからタンクでアッサンブラージ ュをしたほうが良いと考えるようになった。SO2 については、ごく微量に抑えているが「ナチュラルに造ること」を 目的にするというよりも、テロワールを尊重した高品質なワインを造ることに関心があるという。搾汁は普通 の機械(空気式圧搾機ではない。垂直式でもない。隙間が空いていて横に絞るタイプの機械)で、圧搾 し、一晩そのまま置いて自然に発酵が始まるのを待つ(この際、極少量の SO 2を入れる)。樽は 225
lと 500lを使用。2016 年、2017 年、2018 年(新樽1個だけ)があり、いずれの樽も焼かずに蒸気で燻蒸して、ロースト香をつけないようにしている。9°Cのカー ヴに置いているため発酵はゆっくりと進む。MLF は起きずに残糖をある状態で発酵が止まる。一年後にファイバータンクに移して澱とともに熟成し、アッサンブラージュをする。 瓶詰前に軽くフィルターをかけ、SO2 を少量加える。2018 年にはオレンジワインを造っており5月上旬まで皮と一緒に浸漬している。