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Domaine Guiberteau

ドメーヌ・ギベルトー

ドメーヌ・ギベルトーの写真1 ドメーヌ・ギベルトーの写真2 ドメーヌ・ギベルトーの写真3
URL http://www.domaineguiberteau.fr
設立 1934年
本拠地 Saint-Just-sur-Dive(サン・ジュスト・シュル・ディヴ)
当主 Romain Guiberteau(ロマン・ギベルトー)
畑の総面積 14.5ha
資料提供 VIN PASSION


❦ 詳細・歴史

ソーミュール市の南 12km、Saint-Just-Sur-Dive 村にドメーヌを構えるギベルトー。1934 年、曽祖父のクレマン・マンガンがドメーヌを興し、義理の息子のロベール・ギベルトーが継いだ。ソーミュールの有名人であるロベール。ワイン造りだけではなく、経営者としての優れた才覚を発揮し、ソーミュールの協同組合を創業した功労者でもある。
慧眼の持ち主で、偉大なテロワールのポテンシャルを見抜き、1954 年 Brézé(ブレゼ)の丘のベストパートに数ヘクタール畑を購入した。(ギベルトーは 14.46ha の所有畑の内、「ブレゼ」に 7.16ha 所有。現在、「ブレゼ」は、サヴニエールの「ロッシュ・オー・モワンヌ」「クーレ・ド・セラン」と並び、ロワール初のグラン・クリュに認定間近と言われる畑で、クロ・ルジャールはこのブレゼの丘から伝説とも言える、世界で最も偉大なカベルネ・フランのワインを生み出してきた)20 世紀、フレンチ・ガストロノミーの世界に多大な影響を与えた、かの伝説的美食家キュルノンスキーにして「ロワール・ヴァレイの中でブレゼこそが最も偉大なテロワールの1つだ」とも言わしめた。(食通の王様、“フランスの魯山人”。タイユ・ヴァン等のグラン・レストランと共にフランスの食文化普及を目的に「レ・ザミ・ド・キュルノンスキー」を設立。日本支部もある)ロベールがブレゼの丘に購入した畑の最上区画が、ドメーヌのモノポールにもなっている「Clos des Carmes」であり、ギベルトーの名を世に知らしめるワインとなった。しかし、1976 年、ロベールが引退すると、後継者がなく、ドメーヌを畳むことになる。1996 年、畑の借地契約が終わりを迎えようとする頃、ロベールの孫、ロマンがドメーヌの再興を決意する。当時、ロースクールの学生だったロマンだが、新たな借地契約が始まる前に畑を取り戻し、翌年からワイン造りを始めた。記念すべきファーストヴィンテージとなった 1997 年。
「試しに 5,000 本造ってみた赤ワインは、あっという間に完売した!」という。この成功体験に自信を得て、隣人でありロワールの大スターであったクロ・ルジャールのナディ・フコー氏に師事し教えを乞う。ビオロジック栽培、超低収量(15-45hl/ha)、亜硫酸添加は極少量(時にゼロ)、人口酵母・酵素・品質安定剤等は一切使わず、マロラクティック醗酵をしない等、葡萄そのものが与えてくれる酸と糖の自然で美しいバランスを表現することを求めた。それは、かつて祖父のロベールが行っていたワイン造りと同じやり方であり、伝統の踏襲でもあるという。
「自身のワインは、先達たちが継承し深化させてきた伝統の一部である」という考えから、「偉大なロワールの文化、伝統の上に新たな価値を創り、未来に繋げてゆきたい」というロマン。
赤ワインを得意とした師匠のクロ・ルジャールに対し、高純度でいて圧倒的な大地の力、荘厳なエナジーを湛えた堂々たるロマンの白ワインはジャーナリストやソムリエたちに衝撃を与え、「ギベルトーのオートクチュールワイン」、「コート・ド・ボーヌの偉大な造り手の偉大なワインにも比肩する」、「このドメーヌに出逢えたほどの心の底からの感動、神からの恵みはない」等、喝采を浴びる。そうして、ワイン造りを始めてから僅か数年で、ロマンのワインは、ソーミュールはもちろん、ロワール・ヴァレイで最も人気の入手困難なワインとなり、フランス国内の3ツ星レストランほぼ全てでオンリストされ、割当制のレアワインとなった。


❦ 畑

Brézé(ブレゼ/7.16ha)、Bizay(ビゼイ/4.44ha)、Chacé(シャセ/0.56ha)、Monteuil Bellay(モントゥイユ・バレイ/2.30ha)の
4つのコミューンに合計 14.46ha の畑を所有。内、シュナン・ブラン 7.24ha、カベルネ・フラン 7.22ha を植樹している。植樹している 14.5ha の内の半分、7ha がグラン・クリュクラスのワインを生み出すと言われる「ブレゼ」の丘にあり、中でもギベルトー家はブレゼの最上区画、且つ、斜面上部から下部まで全て所有し、樹齢 80 年という希少なヴィエイユ・ヴィーニュの畑もある。フランスを代表するブルゴーニュを中心に活躍するクルティエ、ポール・ワッサーマン氏は「ブレゼ」の素晴らしさについてこう讃える。「ブレゼの丘の何と素晴らしいことか!他のどのワインとも異なる、また他のどのアペラシオンも表現し得ることのないシュナンが生まれる」柔らかい石灰岩の母岩に、粘土やシルトが堆積する土壌。台地状の緩やかな斜面を持つ斜面頂上部の畑は、南向きと日当たりも良く、表土も厚いため、カベルネ・フランを植樹。
1957 年に植樹された樹齢 60 年超のモノポール「Les Arboises」(レ・ザルボワーズ)の畑があり、アルマン・ルッソーのクロ・ド・ラ・ロッシュを彷彿させるエレガンスと上質なスパイス感、官能的で長命なワインが生み出される。斜面下部の畑からは、驚愕的な凝縮感とエネルギーの塊に圧倒される同家のフラッグシップワイン、コシュ・デュリの
熟成したコルトン・シャルルマーニュを彷彿させるモノポール「Le Clos des Carmes」(ル・クロ・デ・カルム)を作る。「ブレゼ」に次いで歴史的にも秀逸な白ワインを生み出す畑として知られるのが「ビゼイ」。土壌は「ブレゼ」と同じ柔らかい石灰岩の母岩を持つが、表土が薄く、シルトに加え、砂が多く見られる。モノポール「Clos de Guichaux」(クロ・ドゥ・ギショー)の畑を所有し、清楚なフローラル香や緻密なミネラルが上品な、滑らかで優しい白ワインが生み出される。2003 年からビオロジック栽培を始め、2007 年に初めて認証を取得。その後、新しい畑でビオロジックを始める場合、規定では3年間科学薬品や化学肥料を使用しないことを義務づけられているが、ギベルトーでは5年間の時間をかけて、葡萄木に一気に過度なストレスを与えず、生態系システムとの相互作用も考慮しながらゆっくりと切り替えてゆく。ビオディナミ特有のプレパラシオン(調合剤/牛の角に詰めた牛糞や水晶等)を使用するのではなく、エッセンシャルオイルや植物を煎じたものを散布など、独自のビオを進化させてきた。植え替えの際は、ワインの味わいの標準化/画一化を招くと言われるクローンの選抜ではなく、生物多様性を尊重したマサル・セレクションを行う。約 20 種類の主に古木の優良な母木を選び、子孫を残してゆくことで、味わいの多様性、複雑性をワインに表現することを目的とする。


❦ 醸造

ワイン造りも至ってナチュラルでクラシカル。畑での完璧な仕事によって可能な自然酵母 100%による醗酵、補糖・補酸は一切せず、醸造過程における酵素添加もしない、少量の亜硫酸使用、シュールリーでの長期熟成等を行う。赤ワインはコンクリートタンクで醗酵を始め、途中でバリックに移して醗酵を終え、そのまま約 18-20 カ月間の長期のシュールリーでの樽熟成。白ワインはステンレスタンクで醗酵後、バリックに移し、ベーシックキュヴェで約7カ月間、トップキュヴェで 11-18 カ月間のシュールリーでの樽熟成を行う。「最上のテロワールから得られる葡萄そのものが与えてくれる、自然が魅せるピュアな美の調和をワインに残したい」というロマンだが、ワインはピュアな美の調和を漂わせながらも、並外れた凝縮度とエネルギー感で煽動的。飲み手の心を激しく揺さぶるワインである。