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Château la Nerthe

シャトー・ラ・ネルト

シャトー・ラ・ネルトの写真1 シャトー・ラ・ネルトの写真2 シャトー・ラ・ネルトの写真3
URL http://www.chateaulanerthe.fr
設立
本拠地 Châteauneuf-du-Pape(シャトーヌフ・デュ・パプ)
当主 Richard(リシャール社)
畑の総面積 60ha
資料提供 出水商事


❦ 詳細・歴史

今では『ワイン・アドヴォケイト』、『ワイン・スペクテーター』、『メイユール・ヴァン・ド・フランス』、『グラン・ギド・デ・ヴァン・ド・フランス』、『ゴー・ミヨー』、『アシェット・ワイン・ガイド』など、数多くの評価誌で高評価を得ている。特に、良い年にしか造られないキュヴェ・デ・カデット赤とクロ・ド・ボーヴニール白は生産本数も少なく、なかなか手に入らないスペシャル・キュヴェ。『第7版パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド』では2つのキュヴェが揃って“シャトーヌフ・デュ・パプで最も心に残るワイン”に選出された。また『ワイン・スペクテーター』では、ここ10年で2度も、“年間トップ100ワイン”のうちトップ10入りを果たした。
紆余曲折を経ながらも名声を守り、シャトーヌフの歴史とともに歩んできたシャトー。

シャトーヌフ・デュ・パプの中で最も古いと言ってもいいこのシャトーは、12世紀、ローマ教皇がシャトーヌフに別荘を持ち、夏をそこで過ごしていた時代に、彼らによってつくられた畑が始まりである。それから200年後のローマ教皇在位の時代、シャトーヌフは繁栄し、シャトーヌフ・デュ・パプの名を与えられた。
シャトー・ラ・ネルトは当時“グランジュ・ド・ボーヴニール”と呼ばれていた。ネルトの存在を実証する最初の史実は1560年11月25日に、テュル・ド・ヴィルフランシュがこの地を購入したことに遡る。ネルトのワインのクオリティーは高く、18世紀に入るとすぐ、トネールやブリサック元視帥、ユゼやシュヴルーズの公爵、ベルグの皇太子を初め、多くの高名な人に受け入れられ、称賛を受けた。また、ネルトのワインはルイ16世の宮廷やヴェルサイユ宮殿でも飲まれていたのである。このころイギリス、ドイツ、イタリア、スペインにも輸出されており、名声はヨーロッパ中に広がった。またシャトーヌフ・デュ・パプのワインは隣村のものより30%も高値で取引されており、ネルトに関しては最も高かった。
1870年ごろテュル・デュ・ヴィルフランシュは、フィロキセラ来襲で打撃を受けた畑をジョセフ・デュコ少佐に売った。彼はフィロキセラに耐性のある種類のブドウ木に接ぎ木をすることに関心を示し、ネルトの畑の構成を見直した。そして10数種類の異なる品種を持ち込み、アッサンブラージュに適した品種の構成を考え、考案した。
このようにデュコ少佐の努力もあり、ネルトはフィロキセラ禍を乗り切ったが、1985年にフランスのコーヒー業社であるリシャール社が救いの手を差し伸べるまで低迷の時代が続いた。リシャール社は会計士のキャリアを積んだアラン・デュガに再建の全権を委ね、支配人としてデュガをシャトーに送り込んだ。彼はワイン醸造のプロセスと機材の修理方法を学び、またセラー・マスターのフィリップ・カペリエ、ブドウ栽培のマックス・ファルジョン、コンサルティング・エノロジストのノエル・ラボなどとチームを結成し、シャトー・ラ・ネルトの復興に力を注いだ。こうして、ネルトのワインはかつての傑出した品質を取り戻し、見事に生まれ変わったのである。
1998年にはビオロジック栽培がECOCERT*/エコサートに認証された。ネルトがこの地域での認証第一号となった。
2008年にアラン・デュガは引退し、現在はシャトー・モン・ルドン*の前醸造家クリスチャン・ヴーを監督に迎え、伝統を守りつつ、さらに素晴らしいワインを造るために力を注いでいる。


❦ 畑

太陽の光が1年のうち200日も降り注ぐ地中海気候で、とても恵まれたミクロクリマである。夏はとても暑く乾燥しているが、春と秋の降雨量が良く、土がその水分を蓄え、夏の乾燥に耐えることができる。また、唯一8月中旬ごろにやって来る雷雨が、土を潤してくれる。この雨は恵みの雨であるが、同時にブドウ(特に果皮の薄いグルナッシュ)にカビや病気を発生させる可能性もある。そこでミストラル(北風)がブドウを乾燥させ、カビや病気の蔓延を防いでくれるのである。畑は谷の多い丘陵や台地に広がっており、南、南西、南東向きにある。台地は鮮新世(新第三紀の最後の世)の砂やアルプスの石英の丸石で構成されている。また、丘陵は粘土石灰質の土壌で表面は砂混じりの粘土と石英岩で覆われている。この丸石は、日中降り注いだ太陽の光を吸収し、夜も暖かさを保ち、ブドウが熟すのに好適な環境を作ってくれるのである。

シャトーヌフ・デュ・パプ村の60ヘクタールの畑を1985年以降、Bedarrides/ベダリド村の30ヘクタールの畑を1992年以降所有しており、うち栽培面積は87ヘクタールに広がる。畑はビオロジック栽培で、肥料は有機肥料のみを使用し、除草剤は一切使用せず、雑草の除去を行う。耕耘は年に8~9回トラクターで行う。ブドウ樹は、シラーを除く赤ワイン用のものはゴブレ、シラーと白ワイン用のものはコルドン・ロヤで整枝し、1株に残す枝の本数は4~6本にしている。また一枝に残す芽の数は、ゴブレ方式の樹に関しては1つ、コルドン・ロヤ方式の樹に関しては2つである。除葉は行わず、グリーンハーヴェストは樹齢25年までの若樹のみ(時にはそれより高い樹齢のものも)行う。


❦ 醸造

■赤ワインの醸造■
収穫したブドウは蔵に運ぶと、さらに手で選別し、成熟していないものや腐ったものを除去する。
ブドウは100%除梗し、破砕してから発酵タンクに入れる。良質なタンニンや本質的なアロマを引き出すために、マセレーションを行う。ブドウの豊満さを出すためにピジャージュは定期的に行う。発酵は28℃で行われ、発酵終了間際には30~35℃に達する。発酵中は何度も試飲をし、タンクからワインを抜く最もいいタイミングを計る。その後、フリーラン・ワインはマロラクティック発酵を行うために、16世紀が起源の石製タンクかオーク樽に移される。プレス・ワインは使用しない。
■白ワインの醸造■
収穫したブドウは空気圧圧搾機で圧搾し、澱引きを行い発酵に入る。ルーサンヌ、古樹のクレーレットについては樽発酵をし、同じ樽で熟成させる。その他は大樽で発酵、熟成を行う。また、ワインのバランスとフレッシュさを損なわないよう、マロラクティック発酵は行わない。
■熟成■
各ワインの個性を最大限に表現するために、赤ワインはすべて同じ方法で熟成されるわけではない。タンニンが豊富なものは樽で熟成する。木から入る酸素によって、タンニンがいい具合に成熟するからである。グルナッシュとシラーからできるものは大樽、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルからできるものは樽で熟成させる。熟成期間は1年間。
ルーサンヌと古樹のクレーレットから造る白ワインはもっぱら樽で醸造、熟成をし、ワインと樽の素晴らしいマリアージュを生むのである。
蔵には、ネルトのワインを取り扱っている著名レストラン、ミシェル・ブラ(3ッ星)、クリスチャン・エティエンヌ(1ッ星)、アンヌ=ソフィー・ピック(3ッ星)、ネグレスコなどのストックが、ネームプレートが付いたスペースにそれぞれ貯蔵されている。