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Clemens Krutzler

クレメンス・クルツラー

クレメンス・クルツラーの写真1 クレメンス・クルツラーの写真2 クレメンス・クルツラーの写真3
URL https://krutzler.at/en/
設立 2020年
本拠地 Burgenland(ブルゲンラント)
当主 Clemens Krutzler(クレメンス・クルツラー)
畑の総面積
資料提供 Vin Amis


❦ 詳細・歴史

【ブルゲンラント最注目の若手醸造家が描く新世代アイゼンベルク】
南ブルゲンラントのアイゼンベルクという土地は、オーストリアワインを深く知る人間にとっては特別な意味を持つ産地である。しかし、その名前が世界的に広く知られているかと言えば、決してそうではない。実際、この地域は今でもどこか静かで、中心地から少し離れた場所にある。だからこそ、この土地には流行とは異なる独自の時間が流れている。

クレメンスは、Weingut Krutzlerの次世代としてワイン造りに携わっている。Krutzlerといえば、フラッグシップであるPerwolffによって、アイゼンベルクのブラウフレンキッシュを国際的に知らしめた存在の一つであり、父ラインホルト・クルツラーはこの地を代表する造り手として知られている。

しかし、クレメンスは幼い頃から当然のようにワインの道を選んでいたわけではない。彼自身、「14歳くらいの頃、将来何をしたいか考えた時、実はワインをやりたいかまだ分からなかった」と語る。むしろ当時の彼は料理や食に強い興味を持っており、「料理と食べることが好きだったので、まずはホスピタリティやガストロノミーを学べる観光学校へ進んだ」。最初は料理の道へ進もうと考えていたという。その後、2019年にはLandhaus Bacherで研修を経験する。Landhaus Bacherは、オーストリアを代表するガストロノミーの一つとして知られる名店であり、クレメンス自身も「自分にとってはオーストリア最高峰のレストランの一つ」と語っている。また、南フランスのワイナリーで働いた経験もあり、レストランとワイン産地の双方を実際に体験することで、彼の感覚は少しずつ形作られていった。
結果的に、彼はこの遠回りを非常に前向きに捉えている。「結果的にはそれが良かったと思う。ワイン学校的な“教科書的視点”から少し距離を置けたから。むしろ新しい視点を持つことができた」。この言葉は、現在の彼のワインをよく表している。伝統や土地への敬意を持ちながらも、既存の価値観に縛られすぎない柔軟さが、彼のスタイルの核にある。

現在、彼が主に担当しているのは、家族のワイナリーの中でも最も樹齢の若い約2.5 haの区画である。そこから生まれるワインは、ワイナリーにおけるベーシックレンジとしてリリースされているが、その役割は単なるエントリークラスではない。若木由来の鮮やかな果実や伸びやかな酸を活かしながら、より現代的で開かれたアイゼンベルク像を提示している。彼自身も、「私はオーストリア南部ブルゲンラントの若いブドウ栽培家である。私のワイン造りは2020年、18歳のときに仕込んだ最初の小さな1樽から始まった」と語る。その小さな試みは、数ヴィンテージを経る中で徐々にワイナリーの中で重要な役割を担うようになった。そして2023年、彼にとって大きな転機が訪れる。父ラインホルトと初めて本格的に収穫を共に行ったのである。その経験を通して、「本格的にワイナリーへ加わろう」と決意したという。一方で、その時点でも彼は改めて醸造学校やワイン大学へ進学すべきか悩んでいた。しかし最終的には、「家に帰れば実践の場がある。だからこそ、自分はいろんな場所を旅して、いろんな人に会い、話を聞き、経験を積むことの方が大切だと思った」と考えるようになった。実際、彼は積極的に各地を訪れ、多くの生産者や料理人、ワイン関係者と交流しながら自身の視野を広げている。その姿勢は、彼のワインにもはっきりと現れている。どこか開かれていて、軽やかで、それでいて土地への芯は失っていない。



❦ 畑

アイゼンベルクという土地の特徴は、何より鉄分を多く含む片岩質土壌にある。産地名そのものが“鉄の山”を意味するように、この地域のブラウフレンキッシュには独特のスパイス感とミネラル、そしてどこか鉄を思わせるニュアンスが現れる。また、ブルゲンラントの中では比較的冷涼であり、パンノニア気候による日中の暖かさと夜間の冷気による寒暖差が、張りのある酸と透明感をワインにもたらしている。クレメンスは、この土地の個性をできる限り自然に表現することを重視している。「目指すのは、土地の個性を明確に映し出すワイン」と彼は語る。畑では過度な介入を避け、セラーでも低介入のアプローチを徹底する。


❦ 醸造

発酵は基本的に自生酵母。抽出も穏やかで、力強さよりも質感とバランスを重視する。使用するのは主に使用済みの木樽や大樽、ステンレスタンクであり、新樽による装飾的な要素はほとんど感じられない。

その結果として生まれるワインは、アイゼンベルクらしい鉄分由来のミネラル感と鮮やかな酸を持ちながらも、従来の重厚なブラウフレンキッシュとは異なる軽やかさを備えている。黒系果実やハーブ、スパイスのニュアンスを持ちながら、どこか空気の通ったような透明感がある。