さすが科博! ワイン展ーぶどうから生まれた奇跡ー 行ってきました

国立科学博物館で開催されているワイン展に行ってきました

ワイン展 国立科学博物館

ワイン展 国立科学博物館

 

入ってすぐのパネルと映像が質実剛健というか素朴な感じで、もしかして予算がなかった?と不安になりましたが、さすが自然史・科学技術史に関する総合博物館である国立科学博物館。1500円(前売りで購入したので、実際は1300円)のもとは十分とれる見応えのある展示でした。

展示は3つに分かれています

Zone 1 ワイナリーに行ってみよう
Zone 2 ワインの歴史
Zone 3 ワインをもっと楽しむ

最後は物販です。

撮りたい物はわりと撮影禁止だったのであまり写真はないですがざっとご紹介します。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

(1)ワイナリーに行ってみよう

ワイン用のぶどうの紹介、ぶどう畑の1年、ぶどう栽培、ワイン造りについてのパネル展示があります。途中で、ぶどう踏み体験、ピジャージュ体験、収穫ゲーム(よい果実をすばやく選果する)などを疑似体験できます。

偽ワイナリーですが、今までにワイナリー訪問したことがある方にとって、やや物足りない?ということはありません。

普通はあまり見せてくれない培養酵母(乾燥タイプ)とか

KIMG1658

 

ワイン造りに使われる亜硫酸塩

亜硫酸塩

亜硫酸塩

科博的亜硫酸の説明

KIMG1659

 

など、オブラートで包まれていたものがわりとあっけらかんと展示されています。

マロラクティック発酵の詳しい説明は、「工業的には乳酸菌オエノコックスなんとかを添加する」など包み隠さず表示してあります。(さすが科博)ときどき、ワイン造りの英文を読んでいて、「マロラクティック発酵が自然に起るのを待ちます」という文章があって、なんでわざわざ書くのかな?と思っていたのですが、そうか、書いてないところは添加してマロラクティック発酵させてるってこともあるんですね。

 

マロラクティック発酵

マロラクティック発酵

 

パスツーリゼーションの説明もありました。ワインの風味をあまり壊さずにバクテリアを殺し、酸っぱくなるのを防ぐんだそうです。
低温殺菌って牛乳みたい〜
お酒で火入れをするのは日本酒だけかと思っていましたが、ワインにも使われることもあるんですね。字が細かいですが、フィルター濾過することによってこの方法が利用されないこともあると書いてあります。

 

パスツールKIMG1662

 

その他、コルクの木なども展示されていました。幕の内弁当のごはんみたいにコルクの樹皮からコルクが型で抜かれていました。
そこは人気があって撮影できませんでした。。

 

(2)ワインの歴史

ワインがどこで造られてどう広まったのか、日本ではどう広まったのかなどとともに、酒器やワインに関わる骨董品的なものがあちこちに展示されています。しかも本物!かなり興奮します。(あ、興味のない人は興味ないかもあ)さすが国立科学博物館で開催されるとなると、ワインに関する博物学的価値のあるものは、貸し出さないといけないんでしょうね。酒器などは、いつの時代も当時の最高技術を使っていると思われます。ワインはそれだけ、大切にされてきたのでしょうね。

ガイドブックを購入しましたが、展示物は全部は掲載されていませんでした。また、今回のパンフレットに目録もなかったので、それはちょっと残念でした。ここは撮影禁止でした。まー当然です。でも、パンフレットを撮影したものでちょっと紹介します。

 

こちらは「クラテル」。古代ギリシア時代に(前6〜5世紀頃)ワインと水を混ぜるのに使われた陶器です。ギリシャ、ローマ時代はワインを水で割って飲むのが普通だったと何かで読んだ事があります。蒸発して濃くなるから、酔っぱらってしまうから、水はそのまま飲めなかったからなど諸説あったような気がします。前5世紀頃のものとみられるよく似た黒像式のアンフォラもありました。

 

ワインをうすめるための容器 クラテル

ワインをうすめるための容器 クラテル

 

こちらは角杯と言われる中国、唐時代の酒器。
唐三彩の本物が展示されています。

 

とうさんさい KIMG1688

 

 

日本の歴史で面白かったのは、

ワイン造りを学ぶために渡仏した高野正誠(右、当時25歳)と土屋龍憲(左、当時19歳)の写真、日本最古のワインなどの展示と共に、「帰国してワイン造りがうまくいかなかったら渡仏に関わった金額を全額弁償する」という誓約書の展示があったこと。フランス語もそこそこで1年でワイン造りを学んでこい、できなかったら弁償、って「きゃーなんてブラック企業ーって」思いましたが、当時はそんなもんだったんですかね。

 

あとは、こちら「ワインと太平洋戦争」
私は出身がワイン産地なので、戦時中は酒石酸をとるためにワイン造りが奨励され、醸造免許が簡単にとれた、という話は聞いていたのですが、(今とは大違いですね)何に使うとか詳しくは知りませんでした。さすが科博です。そこもしっかり説明してあります。

酒石酸をもとに造られるロッシェル塩が高感度ソナーの心臓部の材料として使えることがわかり、結晶化させ対潜水艦用の聴音機に使用したとのことです。その後、クリスタルイヤホンやマイク、スピーカーにも使われたそうですが、湿度に弱いので現在は使われていないとのこと。

撮影禁止でしたが、そのアンプ的なものの展示もありました。さすが科博です。(パンフレットには掲載なかった;;)

 

KIMG1689

ブドーハ化学兵器ポスター

KIMG1690

 

 

(3)ワインをもっと楽しむ

ワインの香りの説明と体験、ワイングラス、ヴィンテージ紹介、高級ワインのボトルなどが展示されています。目玉は海底に170年沈んでいたシャンパーニュ。成分をみると残糖がそうとう高いということが話題になっていましたよね。
美しい装飾が施されたベネチアンガラス、ガレのアールヌーボーのガラス製品なども展示されています。

 

ガレKIMG1691

最後に、ムートンのアートラベルをずらっと見ることができて壮観でした。

 

(4)物販

エノテカさんが出店しています。田崎さん監修のオリジナルワイン、その他、サントリー、メルシャンさんのワインなどが販売されています。

パンフレットは1500円(税抜)です。撮影禁止だった場所を再度確認できますし、良心的な価格と思います。

 

 

まとめ

展示品がすばらしかったです。ここまで集められるのはさすが科博です。
展示や企画の守備範囲が広いので、多くの人が楽しめると思います。2月21日までですが、1月、2月の金曜日のうち数日は、人類とワインの歴史、日本のワインの歴史、ワインの造り方と成分などのギャラリートークもあります。

1500円のチケットで、常設展の日本館、地球館も見ることができます。全部見たら1日かかると思います。(1月の展示の渋川春海と江戸時代の天文学者たちおもしろかったです)

お時間あればぜひ。地球館にあるレストランでは、ワイン飲み比べセットもあるようです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

期間:2015年10月31日(土)〜2016年2月21日(日)
会場:国立科学博物館(入口は特別展の入り口から!)
住所:東京都台東区上野公園7-20
開館時間:9:00〜17:00※金曜は20:00まで、入館は閉館時間の30分前まで。
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)、12月28日(月)〜1月1日(金) ※ただし、11月2日(月)と1月4日(月)は開館。
入場料:一般・大学生 1,500 円(前売/団体 1,300円)、 小・中・高校生 500円(前売/団体 400円)

 

おまけ

エントランスは、なんとなく華やかさというか飾り気がないです
(でも大丈夫、この後の展示が豪華だから)

ワイン展 国立科学博物館 エントランス

ワイン展 エントランス

おそらく、一般的なプロジェクター?

KIMG1656

 

もしかして低コストなのかも?と心配になったのはここでした。

 

 

コメントを残す