オーストリア研修2015 ワイングート・ヴィーニンガー(Wieninger)

オーストリア研修2015

昨年のオーストリアフェアの成績がよかったので、オーストリアのワインマーケティンググループのプレミアムエステートさん+ワインの輸入元のヘレンベルガーホーフさんのオーストリア研修ツアーにご招待いただきました。通常は、世界各国のソムリエやバイヤーが集まるそうで、全行程英語らしいのですが、時期が異なったため、ヘレンの社長の山野さんと、営業担当の宮本さんの3人でツアー。そのため今回は全行程関西弁+山野さんのドイツ語通訳でしたw

 

ヴィーニンガー Wieninger 

今回は、フリッツ・ヴィーニンガーさんが夏休み中でパパフリッツ・ヴィーニンガーさん来年80歳(息子さんも同じ名前)のご案内。ヴィーニンガーという名前は、ガストロノミーやワイナリーの仕事に従事している方に多い名前だそうです。

 

〜1代目のフリッツ・ヴィーニンガーさん(パパフリッツ氏)の話〜

フリッツ・ヴィーニンガー(お父さん)

フリッツ・ヴィーニンガー(お父さん)

《ウィーンについて》

ウィーンのぶどう畑は、マリアテレジアの息子ヨゼフ2世のときに、ホイリゲ奨励令(ワイナリーがレストランを造ってワインと料理を提供してよい)がでて広がりました。

マリアテレジアは、30年もの間、女性でオーストリアの政治をしていた人で国内ではとても人気がありますね。

ホイリゲはいまやや衰退気味です。人気のあったホイリゲもいくつかは閉店してしまいました。

(写真はヴィーニンガーさんのところのホイリゲ。この季節は週末のみの営業ですが、特別に開けてもらって中を見せてもらいました)

ヴィーニンガーのホイリゲ

ヴィーニンガーのホイリゲ

 

ヴィーニンガーのホイリゲ

ヴィーニンガーのホイリゲ

ヴィーニンガーのホイリゲ

ヴィーニンガーのホイリゲ

ヴィーニンガーのホイリゲ

ヴィーニンガーのホイリゲ

以前はここがメインの醸造所だったので醸造設備と地下セラーがありました。

ヴィーニンガー地下セラー

ヴィーニンガー地下セラー

 

《ゲミシュター・ザッツについて》

2012年に DAC(Districtus Austriae Controllatus)にヴィーナー・ゲミシュター・ザッツとして認められたので、アルテ・レーベンをラベルに記載できなくなり、2013年からラベルを変更しています。うちの単一畑ローゼンガルトル(2.5ha)のゲミシュター・ザッツは、ファルスタッフというオーストリアワインのガイドブックでナンバーワンになっています。

ヴィーニンガー ローゼンガルトル ラベル

ヴィーニンガー ローゼンガルトル ラベル

低温室

低温室

法律上3種類以上の品種を同時に収穫して同時に醸造することになっていますが、うちでは15種類のぶどうが植えられています。もともと、多品種を植えていたのは、天候によって収量が安定しないというリスクを避けるためでしたが、99年にヌスベルグで借りた畑で試しに造ったゲミシュター・ザッツの出来映えがすばらしかったので、今日があります。

 

《ヌスベルグ畑にて》

グリューナー・ヴェルトリーナー

グリューナー・ヴェルトリーナー

鹿にワインを食べられないように、ネットをはっています。私も猟をします。狩猟は、9月に解禁になります。この周辺は高級住宅地で土地の値段は高いけど、ぶどう畑は優遇されています。耕作放棄地に木を植えるとEUとオーストリアから補助がでます。ヌスベルクからウィーンを眺めると左はパノニア平原、右がアルプスの終わり、眼下にドナウ川が見えて、奥にライタベルグ、ノイジードラゼーがあります。

ヌスベルグの畑

ヌスベルグの畑

畑はウィーンの北部、ニュスベルグに35ha、ビザムベルグに35haあり、ビ2006年よりオディナミで栽培しています。2/3が白ワインで、1/3 が赤ワインです。

ニュスベルグの土壌は、粘土を多く含んだ貝殻石灰岩と風化した石灰岩で、ゲミシュター・ザッツ、リースリング、グリューナー・ヴェルトリーナー、トラミナーなどを栽培しています。ワインはクリーミーでフルボディ。しっかりとしたミネラル感があります。

ヌスベルグ 石灰岩

ヌスベルグ 石灰岩

ビザムベルグの土壌は、砂質のレス(黄土)土壌で軽めです。アルプスからけずられた石灰を下層に含んでいます。主に赤ワインとシャルドネを栽培しています。ワインは、フレッシュで軽快な果実味と力強い酸があります。

ビザムベルグの土壌

ビザムベルグの土壌

ビザムベルグの土壌

ビザムベルグの土壌

 

 

〜セラーにて(ケラーマイスターさんの話)

 

 

ぶどうは収穫したら5℃の部屋に2、3時間入れて冷やします。ニュスベルグのワインはしないですが、単一のトラミナーなどにいは、低温マセラシオンをして香りを華やかにさせます。

低温室

低温室

栽培している品種は、ノイブルガー、ヴェルシュリースリング、ヴァイスブルグンダー、トラミネール、ソーヴィニヨン・ブラン、グリューナー・ヴェルトリーナー、シャルドネ、ツヴァイゲルト、カベルネ、メルロー、ブラウフレンキッシュ、ザンクトローラント、ピノ・ノワールです。
ぶどうは100%除梗します。グラン・セレクトのピノだけ、除梗したあと、ぶどうの状態を見てから考えます。状態がよければ、プレス器の中で浸漬させることもあります。

除梗、破砕機

除梗、破砕機

 

基本的に野生酵母で発酵させています。赤と上キュベはほぼすべて野生酵母です。白はうまくいかなければ、畑の酵母を培養させたものを添加することもあります。

カベルネとメルロー以外はステンレスの発酵タンクを使用しています。

木の発酵樽

木の発酵樽

ゲミシュター・ザッツは基本的に区画ごとに収穫、醸造を行いブレンドします。
シャルドネは225リットルのバリックと古樽で発酵、熟成させています。

地下セラー

地下セラー

コンクリートエッグはゲミシュター・ザッツ用に購入してみましたが、昨年は貴腐菌が多かったので、かもし発酵には向かないだろうと思い使いませんでした。オレンジワインも興味はあります。

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ピノ・ノワールとシャルドネにはクラシック、セレクト、グランセレクトの他にトリビュートという良年だけ造るキュベがあります。225リットルの樽を2つだけ造ります。ピノは完売しましたが、シャルドネは2009年、2011年、2013年があります。(あ、これは内緒かも)

フランソワフレールの樽

フランソワ・フレールの樽

 

《ティスティングルームにて》

ティスティング ルーム

ティスティング ルーム

 

 

◎ツヴァイゲルト・ロゼ・スパークリング・カタリーナ
ビザムベルグのツヴァイゲルトを使用し、除梗したあと、ダイレクトプレスで果汁を絞り、瓶内二次発酵で2年熟成。カタリーナは次女の名前とのこと
コメント)フレッシュな果実味とこのワイナリーらしいしっかりとした酸味のあるロゼ。

ヴィーニンガー ツヴァイゲルト ロゼ カトリーナ

ヴィーニンガー ツヴァイゲルト ロゼ カトリーナ

 

◎ヴィナー・ゲミシュター・ザッツ2014

品種はグリューナー、リースリング、ソーヴィニヨン・ブランなど12種類
低温マセラシオンは品種によって行なうものと行なわないものがある。
コメント)最初フルーティに感じたがミッドパレットしっかり。ミネラルとボリュームもあってフルボディ。食べていたレバーペースト(これは新酒の解禁の11月11日に食べる風習があるそうです)にも負けない力強さ。

◎シャルドネ・グラン・セレクト2002
ビザムベルグの1967年の古木のシャルドネ。
コメント)ワインと樽がよくなじんでいて、ブルゴーニュのムルソーのような香り。すばらしい。

 

◎ヴィナー・グリューナー・ヴェルトリーナー2014

ビザムベルグのぶどうが70%を占める。ステンレスタンクで発酵、熟成。
コメント)フルーティ、果実と酸がゲミシュターザッツよりも軽やかでやさしい印象。

 

◎ヘレンホルツ・グリューナー・ヴェルトリーナー2014
ステンレスタンクで発酵、熟成。ヘレンホルツの畑の1975年の古木。ファルスタッフでベストグリューナーに選ばれています。
コメント)果実味がピュアで透明感がある。硬質で塩気のあるミネラル。

 

◎ニュスベルグ・グリューナー・ヴェルトリーナー2014

ローゼンガルトルの下の畑。見張り代の所。
コメント)硬質なミネラルを持つ力強い辛口。ニュスベルグらしいと思う。

 

◎リースリング・ニュスベルグ2014

プロイセンとプルクシュタールのなど畑のぶどうを使用。樹齢は約50年。
コメント)硬質なミネラルを持つ力強い辛口。ペトロールの香りはないのは石灰土壌だからえ、熟成すればでるんじゃないかとのこと。

 

◎ゲミシュター・ザッツ・ビザムベルグ2013

55年の樹齢。2時間低温マセラシオンをしてステンレスタンクで発酵。
コメント)華やか、親しみやすい味わい。(先ほどまでごりごりだったので余計にそう思ったのかも)

 

◎ゲミシュター・ザッツ・ニュスベルグ2013
15種類の品種をブレンド。やや冷涼な2013年。ミネラルと酸はありつつ香りが開いて華やかな印象。

 

 

《ヴィーニンガー訪問を終えて》
ゲミシュター・ザッツの立役者のヴィーニンガーですが、シャルドネもブルゴーニュスタイルで高品質。畑面積も増えて、コンクリートエッグも購入してまだまだ新しい事への挑戦にやる気満々な感じがしました。ウィーンを見下ろすニュスベルグの高台の畑にブッシェンシャンク(パパフリッツによるとブッシェンシャンクは、ワインと軽食を提供するところ、ワイン以外のビールとか珈琲などの飲み物はないとのこと)があり、パノニア平原、ドナウ川、ウィーンの町並みを見ながら飲むワインはおいしそうでした。次回は、ぜひ週末に行きたいですね〜。
パパフリッツさんに「来年80なんてほんと元気ですねー」と言ったら「ワインがいいんだよー」とのこと。バスガイドさながらに運転しながらウィーンの町並み観光もしていただきました。ありがとうございました。

ヴィーニンガーのブッシェンシャンク前で

ヴィーニンガーのブッシェンシャンク前で

 

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