Quality South Africa Wine キャシー・ヴァン・ズィルMW&大橋健一MW共演セミナー(講義編)

Quality South Africa Wine キャシー・ヴァン・ズィルMW&大橋健一MW共演セミナー(講義編)です!

 

南アフリカワインセミナー

南アフリカワインセミナー

◎大橋さん:

南アフリカのプレミアムワインは、いままで日本で最も入手しにくかったので、ロンドンから直接ワインを購入していました。今は南アフリカのプレミアムワインはラフィネさんが総取りしていますね。

日本人が南アフリカワインを学ばなければならない理由の一つとして※1WOSA(南アフリカワイン協会)がすごい!ということがあります。

※1WOSAワイン生産者によって組織された協会で世界市場に向けてワイン輸出促進を目的としている。

南アフリカのワインは、安いワインもありますが、ロンドンでも右肩上がりです。
理由のひとつに、「南アフリカのワインを購入すると環境にいい」という取り組みを国が中心となってすすめていることがあげられます。これは日本も見習うべきだと思います。
(例)南アフリカのワインを1本購入すると1本木を植えるなど

セミナー KIMG1744

◎キャシーさん

まず南アフリカの場所から説明します。時々南オーストラリアと間違えられるんです(笑)ワイン産地は南アフリカの南西の一部分に集約されています。ウェスタンケープ州は、南アフリカの9つの県の中でも4番目に大きく、およそギリシャと同じ大きさです、気候は主に地中海性気候なのですが、地形がバラエティに富んでいることと、マイクロクライメットがあるのでバラエティに富んだワインができます。

今回は5つのパートに分かれて説明します。

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1)歴史

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南アフリカワインは、350年の歴史があります。ワイン造りは1659年にスタートしていますが、ケープタウンはわずかその7年前に、オランダ東インド会社が、東洋からのスパイスを仕入れて戻るときに食料を調達するために造られました。

ぶどうの木は、1655年に初代総督のヤン・ファン・リーベックによってフランス、スペイン、ラインガウから輸入され、はじめてケープタウンに植樹されました。1658年には1000本の木が植樹されています。ヤン・ファン・リーベックが1659年2月2日に「本日神のご加護によってはじめてのワインが作られました」と日記に書いたため、南アフリカは、いつからワインづくりがはじまったかが明らかになってる数少ない国となりました。
1689年に当時の総督サイモン・ファン・ディスティルがテーブル・マウンテン麓のグルート・コンスタンシアで1万本近い木を植えました。この頃、ケープダッチ方式という建築様式がうまれました。今でも名だたるワイナリーの建築に取り入れられています。ラステンバーグ、フィルファーレン、ボッシェンダールなど。

ケープダッチ様式のレストラン

ケープダッチ様式のレストラン

コンスタンシア・グレン

ケープダッチ様式

その後ワイン生産地域は内陸に広がります。

ワイン造りがはじまった初期は、オランダの影響が強かったですが、1688年にフレンチ・ユグノーが入植してフランスからの影響を受けるようになりました。1700年代になるとナポレオンやイギリスの作家ジェーン・オースティンなどセレブ階級に愛飲されたと言われています。当時は甘口ワインがメインでした。
1886年になると、南アフリカもフィロキセラの被害を受けることになります。
1918年に政府はぶどう栽培家の協同組合であるKWVを設立、過剰生産や不作で苦しむ農家の現状を把握し、ブドウ生産のコントロールをはじめます。これによって1970年台まで協同組合を通してしかぶどう畑を新規開拓したり、ワインを作ることができない国になってしまいました。(へーそうだったんだ、あまりこれは書いてないですね)1970年代になるといくつかのワイナリーが、栽培だけでなく醸造、販売する権利を勝ち取ってすばらしいエステートが誕生しました。
その後、政治的な事情で世界から歓迎されない国となり、輸出制限と情報不足によりワイン産業は低迷しました。

1990年のネルソンマンデラの釈放、1994年の民主化を期に、ワイン業界もデモクラシーがおきています。

 

 

 

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2)土壌と気候

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土壌はワインの味わいに影響を与えることはみなさんよくご存知だと思います。表土だけでなく、岩盤も大切です。南アフリカの土壌は古く、5億年前まで遡れます。主に頁岩、砂岩、花崗岩、礫岩を多く含んでいます。南アフリカは多くの山と谷があるので、谷には風化によってつくられた土壌も多く存在します。また、南アフリカは、2つの海の影響を受けています。海からの涼しい風により気温が緩和され、霧は豊富な雨をもたらします。

南アフリカのワインは、「古い土壌」「海」「険しい山」この3つがキーワードです。ステレンボッシュでは、狭い栽培区画の中で東西南北を向いた畑が存在することがあります。(ここでキャシーさんが東西南北を向きながら説明してくれる。いい人)

 

ステレンボッシュの畑

ステレンボッシュの畑

 

ステレンボッシュの山

ステレンボッシュの山

西ケープのワインの95%は、ケープ植物区保護地域群(ケープ・フローラル・キングダム)の中に存在しています。ケープ植物区保護地域群のなかの植物の種の数は、北半球の全ての種の数よりも多く、多様な植物が存在する地域です。そのなかで育ったぶどうは、その影響を受けると想像しやすいですよね。KWVの時代は、白ワインはほとんどパロミノで、白ワインとブランデーを造っていました。当時はパロミノやクレレット・ブランシュなど高貴品種ではないぶどうが多く植えられていました。1994年の白ワインは生産量の81%を占めていましたが、2014年には54.6%に減少しました。また、同じ白ワイン用品種でも、1994年以降は、シャルドネなどの高貴品種や赤ワイン用のぶどうに植えかえがすすみました。南アフリカは、一度木を抜いて植え替えているので若木が多いということが高品質はワインを造るには問題となるところです。オーストラリアやフランスのような古木があまり多くはありません。最近は、一部の生産者が、100年を超える樹齢のスペシャルな古木を再発見して、ワインを造っています、品種は主にシュナン・ブラン、セミヨンで、わずかにピノグリも発見されています。

シュナン・ブランは南アフリカで大切な品種で2014年の栽培面積は、17,934haです。これは、ロワールより広く、世界最大のシュナン・ブランの産地です。

ピノタージュは、南アフリカで1925年にサンソーとピノノワールを交配してできたユニークな品種です。商品化されたのは1961年ごなります。サンソーのことを南アフリカで昔はエルミタージュとよんでいたので、ピノ+エルミタージュで「ピノタージュ」となりました。

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◎2014年のぶどうの栽培面積

赤ワイン

カベルネ・ソーヴィニヨン20%
シラー10.5%
ピノタージュ6.9%

 

白ワイン
シュナン・ブラン80%
ソーヴィニヨン・ブラン
シャルドネ

 

 

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3)ワインの品質保証

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◎W.O (Wine of Origin) 原産地呼称について。

ヨーロッパの原産地呼称は、100年以上の歴史があるルールで、何をどこにどのように造るかまで定められていますが、南アフリカの原産地呼称は、純粋にぶどうが栽培された地名を伝えるものです。原産地とぶどう品種は結びついていません。

 

南アフリカは3つのジオグラフィ・ユニットがあり、ウェスタンケープのエリアがその一つです。ウェスタンケープ以外はバルクワインとブランデー用なので今回は割愛します。ウェスタンケープは6つの地域に分けられ、そこから26地区(ワード)に分けられます。ワードを名乗るには、土壌、マイクロクライメット、地形がにていなければなりません。この制度はワイン&スピリッツ委員会が決めています。
表示は、原産地を表記する場合は100%、ヴィンテージは85%、品種は85%表記したぶどうを使うように定められています。これはEU、アメリカ、オーストラリアと同じルールです。これとは別にシングルヴィンヤードの表記もできます。

◎各地の説明

  • コンスタンシア:涼しい産地、最初のぶどうが植えられた場所
  • フランシュック:暑い産地、ユグノーが入植した場所
  • パール:暑い産地、大きな花崗岩のドームがあります、エアーズロックの次に大きな岩です。
  • ステレンボッシュ:美しい。。。(笑)
    スワートランド:暑い産地、古木が再発見された場所。山の間に古木の畑が隠れています。
  • ロバートソン:川に隣接した礫岩が多い地域
  • タルバッハ:昼夜の温度差が大きな地域
  • ウェリントン:生産量の大きな地域
  • ダーリン:冷たい対流の影響を受ける地域
  • ウリファンツ:ウリファンツはエレファント(象)のこと。以前は大量生産ワインを造っていましたが、現在はプレミアムワインも生産しています。
  • エルギン、エリム:涼しい産地。スワートランドよりつねに 5℃は涼しい。
  • クレインカルー:ポートタイプのワインの産地
スワートランド

スワートランド

 

◎南アフリカのワイン産業のヴィジョン

南アフリカのワイン産業は、利益と人と環境保全を3つの柱として持続可能な発展をすることに重点をおいています。全ての生産者は、サスティナブル委員会の細かい規定に従わないといけません。ぶどう栽培、ワイン醸造、農薬の種類と使用量だけでなく、器具や排水処理、自然保護にいたるまで広範囲に定められています。2010年よりIPW(環境に配慮したワイン生産のガイドライン)の規定にそって造られたワインには品質保証と持続可能シールを貼っています。このシールが貼られているワインは、持続可能な農業方法で造られており、環境を傷つけないワインということです。同時に、品種、ヴィンテージ、エリアの認証も行ないます。また、バイオダイバーシティー&ワイン委員会(BWI)は、植物保護地区を守る団体で、ぶどう畑にたいしてそれより広大なエリアの自然を保護するように定めています。

 

南アフリカには、環境だけでなくワイン造り、ぶどう栽培をする人を倫理的に保護して支援するユニークな取り組みがあります。(ワイン産業倫理貿易協会(WIETA:Wine Industry Ethical Trade Association)

2012年からは、品質保証と持続可能シールにWIETAのマークを加えたシールをボトルに貼るように押し進めています。このシールは、ヨーロッパのスーパーマーケットでは大きな支持を得ており、ヨーロッパへ輸出する場合には大きな意味を持っています。この協会は、同時に農業従事者の子どもたちの支援もしています。さらに、フェアトレードのワイン65%が南アフリカ産です。このような取り組みから、南アフリカのワイン産業は、世界において、倫理と環境の分野でリーダー的な存在であると言えます。

 

◎大橋さん
排水処理はワインや酒を造るときに必ず問題になります。酒造りは酸性の水ができるので河川を汚してしまいます。北海道は排水処理の法的規制がありません。栃木はあります。
みなさん、もしワイナリーや酒蔵見学に行ったら、ぜひ排水処理はどうされているかを聞いてみてください。酒造りやワイン造りは自然環境が大切です。持続可能な農業を考えると将来的に心配です。意識を高めていかなければならないと思います。

おおはしさんKIMG1743

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4、統計

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2014年

  • ワインの生産量 :全世界7位、4%を占める
  • 畑面積:10万ha
  • 新規の畑、植え替えの畑はそれほど変化なし
  • ぶどうの木の平均樹齢:11〜15年
  • ワインの輸出:バルクワイン、ボトルワインの比率は同じ
  • 主要輸出国:最大がイギリス、その後にオランダ、ドイツ、スェーデン

 

 

◎最後に何故南アフリカのワインが特別なのか

特別な古い土壌、マイクロクライメット、若く情熱にあふれた生産者どれをとってもいきいきとした生命力にあふれています。南アフリカワインはワイン造りに関わる人の人生を味わうことができるのです。

 

 

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ワインを学んでいると、いろいろ勉強になるなあと思うセミナーでした。ワインを造って売って利益を出しながら、そこで働く人を支援し、子どもたちを教育し、環境も保全するってかなり進んだ考えかたで、この積み重ねをしている国は今後強いのではないか、と思いました。人と環境を大切せずに、利益をあげても、負の資産だよなー、この差は開くよなー、これって全ての産業に通じることなんじゃないのかなー、などなど普段全く考えないことまで考えてしまいました。

さて、現実に戻りまして宣伝です。

話は変わって、南アフリカの息吹が感じられるワインをずらっとお試しいただける試飲販売会を2月後半27、28日に企画しております。

ぜひご都合つけてご参加下さいね。

 

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南アフリカワイン試飲販売会

日時

2月27日(土)

13:00-15:00 定員15名
16:00-18:00 定員15名

2月28日(日)
13:00-15:00 定員15名

試飲ワイン
12種類(内容は決定次第ブログ、Facebookでご案内します)

参加費
2000円(税込)当日受付でお支払い下さい

 

場所:conceptual wine boutique Anyway Grapes
店内(世田谷区経堂2-13-1-B1)電話 : 03-6413-9737
ご予約はお電話、Facebookメッセージ、メール mail@anyway-grapes.jpで承ります。

※定員に限りがありますので、ご予約後ご都合がつかなくなった場合はお手数ですがご連絡下さい。

 

特典:当日のワインは20%オフで販売。お買い上げ金額20,000円(税抜)以上で送料無料

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