Domaine des Lambrays
ドメーヌ・デ・ランブレイ
❦ 詳細・歴史
コート・ド・ニュイ地区の中央、「グラン・クリュ・ルート」と言われる街道沿いに位置するモレ・サン・ドニ。その心臓部に特級畑クロ・デ・ランブレイはあります。1365年のシトー会修道院の記録証書にもその名前が残るほど歴史を持つこの畑は、400年以上もの間修道院によって守られてきました。フランス革命以降は74もの区画に分割されましたが、1630年よりジョリー家が土地の買戻しを始め、1868年ロディエ家によってようやく完了。その後不遇の時代を経て、1979年にオーナーとなったサイエ家は、畑の抜本的な改革を行うため、INAO(国立原産地名称研究所)の技術部門で働いていた栽培と醸造のスペシャリスト、ティエリー・ブルーアン氏を醸造長に起用。ティエリー氏は、彼の持つワイン造りの知識のすべてを注ぎ込み、畑と醸造の改革に取り組み、見事な復活を遂げました。その結果、1981年にはAOC法施行後初めて、一級畑から特級畑へ昇格を果たしたのです。これはブルゴーニュの長い歴史の中でも史上初の快挙でした。さらに1996年からフレウント家がオーナーとなると、醸造設備を一新し、若樹の区画を格下げするなど様々な改革を推し進めることで、クロ・デ・ランブレイはかつての名声を見事取り戻すことに成功しました。
❦ 畑
ドメーヌ・デ・ランブレイは特級畑クロ・デ・ランブレイを約8.7ha所有しており、特級畑全体の99%以上を占めています。モレ・サン・ドニの特級畑の中で最も急斜面で標高250mというブドウ栽培に理想的な場所に位置しています。最近では、畑を掘り起こして地質調査を行い、クロ・デ・ランブレイは、 ①ウミユリ石灰岩(畑全体の低い部分)②砂岩質(0.5㎝ほどの小さな石で構成されている)③プレモー石灰質(プレモー・プリセ由来)④小石(拳大の石で構成されている)⑤粘土石灰質5種類もの異なる地質の畑で構成されているということが判明しました。 これほど地質の種類が多い畑というのは稀で、これらの多様なテロワールをひとつのドメーヌが所有しているからこそ、クロ・デ・ランブレイにしか出せない複雑味が生まれるのです。
❦ 醸造
収穫は1haあたり平均30hLと低収量で、手摘みで行います。赤ワインにおけるランブレイの特徴の一つが、基本的に除梗をしないこと。茎を一緒に入れる利点は、発酵時の温度上昇が緩やかになり、ゆっくりと発酵が進むことと、茎からタンニンだけでなく穏やかな酸がとれるため。これらの効果により、滑らかで上品なワインが生まれます。ただし雹が降って茎が傷ついた場合はその傷から苦味が出てしまうため、ヴィンテージ毎に細かい調整を行い、除梗の割合を決定しています。
醸造は重力に従って行い、ブドウの実や茎に傷を付けることなく行います。ブドウを収穫した後、ヴィンテージによって全房発酵比率を決定し、ステンレスタンクを用いて2週間発酵を行います。1日1回ルモンタージュ、必要に応じてピジャージュも実施。発酵後は新樽比率50%のオーク樽で12~18ヵ月間熟成を行います。こうして造られるワインは、"衣の中の鎧"と表現されるように力強さとしなやかさを兼ね備え、しっかりとした骨格を持ちながらもエレガント。複雑な構成の中に濃度の高い旨味が広がります。