スロヴェニアのカルトワイン!!

今日はオレンジワインのブラインド・テイスティングで高得点を得たことで、世界中の注目を集めることとなった、スロヴェニアワインのご紹介です。

2014年、イギリスのDecanter誌初の試みとなるMWが選ぶオレンジ・ワインのブラインド・テイスティングで世界中に激震が走りました。
無名であったクメティヤ・シュテッカーによる2007年のRebula Priloがオレンジ・ワインのベスト24に選出され、ゼップ・ムスター、ショブルック、グラヴナー、ラ・カステラーダといった定評のある造り手たちを凌駕する92点の最高得点を付けたことで、世界中から注目を集めています。

 深い色調と鮮烈な香り、複雑な味わいを持ったオレンジ・ワインは昨今のワインの中でも、非常に個性的でスリリングで、料理との親和性の高いワインです。オレンジワインはさながら皇帝の新しい服のようなもので、不完全な魅力とワインの酸化を許容するソムリエや流行に敏感な人々に愛されています。ワインとは、正しい知識を持った消費者が喜びのために飲むワインを選ぶとは限らないという珍しい矛盾があるのです。
オレンジ・ワインとは正確には何を指すのでしょう?オレンジ・ワインとは白ブドウを果皮とともに数週間、あるいは数か月浸漬させたワインを指します。つまり、これらは赤ワインの手法で造られる白ワインなのです。
結果として、ワインの色調のみならず、非常に深みのある香り、アタックを持ち、タンニンすら感じます。
溌剌とした新鮮味とタンニンの組み合わせは料理とのマリアージュにおいて非常に融通が利きます。
2009年、ニューヨーク最高のイタリアレストランConvinoで、元ソムリエで現在作家兼ブロードキャスターを務めるレヴィ・ダルトン氏はこの有用性に発見気が付きました。
『オレンジ・ワインはすべてを解き放つジョーカーのようなもので、私たちのシェフの魚や肉といった食材を次々に提示する料理でしたが、オレンジ・ワインはあらゆるメニューとペアリングを可能にしたのです。』
2014年12月、Decanter誌は72種類のオレンジ・ワインを集めた初のブラインドテイスティングを行いました。
すべてのワインは最低4日間の果皮浸漬を施しており、従来のワイン造りを踏襲しているものです。
発酵容器のタイプ、発酵温度の調節、天然酵母の使用、SO2の総量も考慮されました。
テイスターはシモン・ウルフ氏、Decanterのテイスティングディレクター、クリステル・ギベール氏、イザベル・レジェロンMWです。

魅力的な香り。ジャスミンの香りを持つリンゴ。高い酸度、穏やかなタンニンを備えた構造ながら素晴らしい鮮度。非常に複雑で重層的、ナッツを思わせる余韻へと続きます。92点
(翻訳・意訳:オルヴォー村岡)
DECANTER MAY 2015  Decanter’s orange wine blind tasting top 24

Kmetija Stekar / クメティヤ・シュテッカー

ヨーロッパの中央に位置し、イタリア、オーストリア、クロアチア、ハンガリーに囲まれたスロヴェニア共和国は、多様性に富んだ地形と複雑で長い歴史を持っています。スロヴェニア北西プリモルスカのゴリシュカ・ブルダ地区、北にアルプス山脈、南にアドリア海を臨むノヴァ・ゴリツァの隣にある小さな町スネザトノ村にクメティヤ・シュテッカーはあります。

ブルダとは丘を意味する言葉です。イタリアにまたがるこの丘は、フリウリではコッリオと呼ばれています。

スラヴ系、ラテン系、ゲルマン系の民族と文化が入り交ざるこの町は、イタリアのフリウリ=ヴェネチア・ジューリア州と国境を接しており、フリウリの巨人ラディコンやグラヴナーが居を構えるオスラーヴィアまでわずか2キロほどしか離れていません。
ノヴァ・ゴリツァとは新しいゴリツァという意味です。歴史的にはイタリア領ゴリツァの一部でしたが、第二次世界大戦後にゴリツァの町の東側が旧ユーゴスラビアに割譲されたためスロヴェニアの帰属となりました。

シュテッカー家の歴史は最も古い文献から1672年まで遡ります。
10代目となる当主ヤンコ・シュテッカーが生まれたのは戦後樹立したユーゴスラビア社会主義連邦共和国の時代になります。

白ブドウを浸漬する造り方はこの地方の伝統
1844年、シュテッカー農園近郊に住んでいた聖職者マティヤ・ヴェルトニックというが記したスロヴェニアのワイン造りの本にも『24時間から30日まで果皮を浸漬すること。これによりワインの味わいと熟成能力を向上させ、ワインはドライに仕上がる。』と、記されています。果皮のタンニンに含まれる抗酸化物質のおかげでワインは長い命を与えられるのです。ワインは単なるアルコール飲料ではなく、文化の一部だと考えており、代々持続可能なアプローチ、極力干渉を避け、有機的な栽培・醸造を手掛け、この土地柄を反映し、色調や醸造テクニックの概念に縛られることのないワイン造りをしています。

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2017年 Merlot メルロー 

会員価格:2,700円(税抜)

品種:メルロー100%

クローヴやセージのような爽快なスパイスに熟したブラックベリーとても滑らかで穏やかな果実のアタック。プラムや花、果実と酸、個々の要素が一体となってストンと喉に落ちていく。ボルドーのメルローとは明らかに異なり酸のレベルも高いが余韻の残り香、タンニンの同調性、垂直に上昇するような静謐な余韻。

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2015年 Rebula Prilo レブーラ・プリロ 

会員価格:4,950円(税抜)

品種:リボッラ・ジャッラ100%

36か月樽熟成。エッジに赤みがかったアンバーオレンジ。古酒を想起させる色調。オレンジ、温州ミカン、オレンジペコー、明度の高いはっきりとした甘い果実にしっとりと蒸らした紅茶葉(出し殻ではない)の風味が加わります。中心を流れる鮮やかな酸を包む果実エキス、ゆっくり広がる大きなスケール。

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2011年 Pinot Draga ピノ・ドラガ 

会員価格:4,500円(税抜)

品種:ピノ・グリージョ100%

セージやアッサムティー、スパイスや茶葉のような香りからサクランボやコケモモのジャムのような甘い果実の香りが湧きあがります。シナモン、コリアンダーのスパイスとドライなザクロやイチジクの果実が調和した香りと味わい。

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2013年 Re Piko レ・ピコ

会員価格:4,500円(税抜)

品種:リースリング90%、ピコリット10%

草むらのような野性的な露草、スッと立ち上がる熟したリースリング香そして時間と共にレモンピール、シナモン、クローヴ、カルダモン、紅茶が奥から湧き上がります。

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2017年 Jankot ヤンコット

会員価格:4,500円(税抜)

品種:フリウラーノ(トカイ・フリウラーノ)100

やや褐色がかった深いイエローゴールド。グラスの中央に引き寄せられるような強く集中した香り。レモンやカリンの砂糖漬けのような甘く熟度を感じる柑橘果実に清涼感のあるローズマリーの香りが加わる。キュッと中心軸を走る酸、ゼリー状のフルーツが覆うように包んでいます。甘い果実と程よいビターな収斂とのコントラストが効いた味わい。若いゆえの酸の高いレベルがあり、のどにキュッと残る柑橘の余韻がとてもとても気持ち良い。

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2017年 Malvazijaマルヴァジーヤ

会員価格:4,500円(税抜)

品種:イストリアン・マルヴァジーア100%

明るいグラデーションのあるゴールド。柚子、カモミールティー、あまりタンニンを思わせない茶葉、奥から甘い黄桃やハチミツ。香りの時点で清涼な柑橘と内側から溢れる甘い果実が飛び出してくる。柑橘から白系、黄色果実へと様々な要素がグラデーションを描く。タンニンは感じず、構成する個々の要素をより輝かせている。柔らかくも大きく張りのある酸を中心に長い余韻が楽しめます。

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