日本初上陸、偉大なサヴォワ・ワイン。
少し時間が空きましたが今日はサヴォワ・ワイン入荷第2弾。
日本初上陸のドメーヌ・デ・ザルドワジエールのご紹介です。
Domaine des Ardoisières
先日ご紹介したドメーヌ・プリウレ・サン・クリストフの当主ミシェル・グリザール氏による第2プロジェクトがこちらのドメーヌ・デ・ザルドワジエール。
ミシェル・グリザール氏の他、地元の協同組合や自治体など多くの人が関わった一大プロジェクトで、10世紀からブドウ栽培が行われていた歴史的なコトー・ド・スヴァンのブドウ畑を再生させ、その偉大なテロワールを活かしたワイン造りと情熱を持った新しいワイン醸造家を招集することを目的に1998年にスタートしました。
荒れた畑どころか森に浸食され木まで自生していた畑のため、木の伐採から取りかかります。サヴォワは急斜面が多く、新たに植樹を行うのも非常に困難。その為石膏壁を新たに建築するなど莫大な資金と労力を費やします。
公式HPに写真が上がっていたので参考までに。
(畑の写真)
(新設した石膏壁)
(畑。凄い斜面です。)
ミシェル・グリザール氏は当時既に50歳を迎えているにも関わらず、この大変なプロジェクトに良く取り組もうと思いましたね。
ワイン造りへの情熱が計り知れません。やはり偉大なワインは偉大な生産者から生まれるものなんでしょうか。
プロジェクトが始まってから4年後の2002年に少量のワインがようやくリリース。
しかし2003年フランスを襲った猛暑の影響で大半の若木が壊滅状態に陥り、経済的にワイン造りが困難になってしまいます。ミシェル・グリザール氏は老後の蓄えの為に取ってあったオールド・ヴィンテージのワインを売却し、地元のレストランやワイン愛好家からの支援もあってプロジェクトを続行。
2003年に新たにブリス・オモン氏が参入、2005年には醸造責任者に着任します。2009年にサン・ピエール・ド・スーシーの畑を購入するとようやく2010年にワイン造りで食べていける量のワインが生産できました。
これを持ってミシェル・グリザール氏は長年ともに栽培、醸造を手掛けていたブリス・オモン氏へとオーナー権を譲ります。
ミシェル・グリザール氏はドメーヌの運営から手は引きましたが、二人とも同じ村で生活しており今日でもブリス・オモン氏とワイン造りに関する議論はしているみたいです。
サヴォワの偉大な生産者ミシェル・グリザール氏が12年かけて立ち向かった一大プロジェクトというだけでも興味が湧くのに、それだけではありません。
ブリス・オモン氏はミシェル・グリザール氏から教わったワイン造りを続け、フランスで最も権威がある辛口評価誌メイユール・ヴァン・ド・フランスにおいてサヴォワ最高の2ツ星を獲得。
ファースト・リリースから10年ちょっと。安定したワイン造りが出来るようになってからまだ6年程しか経っていないのに既に2ツ星というのは凄まじいです。
最上級キュヴェは17〜18点を安定して獲得するなど高評価で、スタンダード・キュヴェでも16点以上!(16点と聞くと低く思われるかもしれませんが、参考までにブルゴーニュの著名生産者の人気のある村名でも14〜15.5点が一般的です。)
今回はまだ評価がされていない最新の15年ヴィンテージが入荷しました。
それではアイテムのご紹介です。
2015 I.G.P. Vin des Allobrogie Cuvée Argile Blanc 会員価格3,780円(税抜)
こちらは新たに購入したピエール・ド・サン・スーシーの区画を使用。
土壌はシスト混じりの泥灰土と粘土石灰質。
新樽は使用せず、3〜5年樽を3分の1発酵、熟成に用いています。
他のキュヴェよりも粘土質が強いため横に広がりを感じる果実味があり、一番早くから楽しめるキュヴェ。
2015 I.G.P. Vin des Allobrogie Cuvée Schiste Blanc 会員価格6,750円(税抜)
このキュヴェからコトー・ド・スヴァンのブドウを使用。
土壌はミカシスト(ドイツのグリーマーシーファー)土壌で表土の薄い痩せた土壌。
ブドウ品種はジャケール、ルーサンヌ、マルヴォワジー、モンドゥーズ・ブランシュのブレンドです。
Vin de Garde(熟成が必要なワイン)とフランスの様々なサイトを見ても書いてありました。
表土薄いし痩せてるしシストだし確かに熟成必要ですが、個人的にポテンシャルを感じさせてくれる硬いワイン大好きなので興味津々。
まだ日本に入荷して時間も経っていないので早いとは思いますが我慢が出来ずに飲みました。
バナナ、白桃、パイナップルなどのトロピカルかつエキゾチックなアロマ、それを抑制するかのような力強いミネラルとメンソールのタッチ。粘性があり、何層にも重なる厚みがありますが、力強い酸とミネラルが骨格を造り熟成ポテンシャルを感じさせます。スケール、余韻ともに素晴らしい。
いや凄いワインです。想像していたよりも今飲んで全然楽しめます。勿論熟成させた方が良いのでしょうが、多分2015年は温暖だった為今飲んで楽しめる豊かな果実味があるのでしょう。
初日抜栓したては内向的でこちらから探しにいかなければ要素が取り難いですが2日目には表情豊かになっていましたね。
土着品種をここまで昇華できるのは流石グリザール氏の愛弟子です。
これは早くクオーツも飲まないと。
2015 I.G.P. Vin des Allobrogie Cuvée Quartz Blanc 会員価格12,600円(税抜)
ドメーヌの最上級キュヴェで、アルテス100%。
シストと同じくコトー・デ・スヴァンの区画を使用。
こちらは新樽が25%程用いられています。
こちらもVin de Gardeですので今楽しむなら抜栓は1日〜4日前がいいでしょう。
プリウレ・サン・クリストフのアルテスを飲んだ時、土壌も品種も違うのになぜかバタール・モンラッシェを想起させられました。
ちょっと気になったので手元にあるメイユール・ヴァン・ド・フランス2016年度版の点数を調べてみると2013ヴィンテージは18点で、バシュレ・モノのバタール13年と同点なんですね。
オリヴィエ・ルフレーヴのバタール11年は17.5点なのでこちらが上。凄い。
流石にルフレーヴとソゼはクオーツよりも高かったですがお値段があれですし。笑
品種、産地の枠を超える偉大なワインだと思います。
2015 I.G.P. Vin des Allobrogie Cuvée Améthyste Rouge 会員価格10,800円(税抜)
唯一造られている赤ワインがこちら。ペルサンとモンドゥーズのブレンド。
ペルサン主体なんですね。てっきりモンドゥーズだとばかり思っていました。
プリウレ・サン・クリストフがモンドゥーズなので。
ペルサンという品種で美味しいワインは今までであった事がありますが、熟成に向く偉大なワインって経験がないですね。仕上がりが気になってしょうがないので早急に空けたいと思います。